第27話:『ラスボスの逆襲(※寂しいだけ)。 ―構ってほしくて世界を割る―』
神々が逃げ出した後の世界で、放置されたラスボスたちが「ぼっち」の寂しさに耐えかねて襲来!
しかし、世界の終焉を司る彼らですら、リィナの「属性変換」の前には無力でした。
破壊神をマスコットに変え、キッズスペースへ左遷する。リィナの経営(支配)に、死角はありません。
「……なんか、モールの外が騒がしいんだけど」
リィナが新作ゲームのログインボーナスを受け取っていると、空中モールの外壁が「メキメキ」と嫌な音を立てた。
次元の裂け目から現れたのは、全身を虚無の鎖で縛られた、巨大な『終焉の魔龍』。本来なら数千年の周期で現れ、一つの宇宙を完結させるはずの「最終決定権」を持つ存在だ。
「おいリィナ! あいつ、俺たちの世界のラスボスじゃねーか!」
「わしの世界の『滅びの王』も混じっておるぞ!」
急速充電コーナーでスマホを充電していた雷神や、レジ打ちをしていた女神たちが悲鳴を上げる。
『……許さぬ……。神も、管理人も、運営も……全員このモールへ逃げ出しおって……。主役もライバルもいない世界で、我らラスボスに何をしろというのだぁぁぁ!』
魔龍の叫びが次元を震わせる。どうやら、リィナが神々をバイトとして雇い、世界を「一時停止」させたせいで、エンディングを迎えられなくなったラスボスたちが「放置プレイ」に耐えかねて暴動を起こしたらしい。
「ボス! あいつら、寂しすぎて理性を失ってるぞ! このままじゃモールが物理的に壊される!」
リィナは大きくため息をつき、ポテトチップスの袋を置いた。
「……全く。どいつもこいつも、自分勝手なんだから」
リィナはテラスへ出ると、空中を埋め尽くすラスボス軍団に向けて、極小の「印」を何層にも重ねて放った。
(印:存在固定)×(印:属性変換)×(投げ銭:着ぐるみ化)。
「【レガシー・アップデート:マスコット・プロトコル】」
パチン、と指を鳴らした瞬間。
巨大な魔龍は「手のひらサイズの動くぬいぐるみ」になり、虚無の王は「ふわふわのクッション」へと姿を変えた。
「はい、解決。あんたたちは今日から、このモールの『迷子センター』と『キッズスペース』の担当よ。子供に揉みくちゃにされて、その寂しい心を癒やしてきなさい」
『きゅ、きゅぴぃ!?(我の威厳がぁぁぁ!?)』
ぬいぐるみ化した魔龍をひょいと持ち上げ、リィナは近くにいた子供に手渡した。
「放置されたラスボスが寂しくて殴り込んでくる」という、なんとも切ない理由(笑)。
しかし、リィナにかかれば「ぬいぐるみ化」して再雇用されるのがオチです。
これでモールには、神々の接客に加え、ラスボスのマスコットたちが揃うという、宇宙最強の布陣が整いました。




