第24話:『国家との極秘交渉。 ―財務大臣、モニター越しに土下座する―』
リィナのポイント増殖が、ついに現実世界の経済をパンクさせました。
画面越しに必死の交渉を試みる国家権力。
しかし、100億円よりも「アニメの視聴時間」を優先するリィナにとって、それはただの迷惑電話に過ぎませんでした。
次元を越えた「引きこもり」の力は、もはや国家の枠組みすらも過去のものにしていきます。
「……リィナ、あんたのスマホ、さっきから鳴りっぱなしなんだけど」
ゼノンが怯えた顔で、デスクの上で激しくバイブレーションを繰り返すリィナのスマホを指差した。
画面には『非通知・重要・国家機密』という、およそ一介の女子高生には縁のない表示が出ていた。
「……面倒くさい。無視して」
「いや、無視できないって! 画面が勝手に強制起動して……あぁっ!」
スマホからホログラムが飛び出し、リィナの目の前に「背広を着た疲れ切った中年男性」の映像が映し出された。現実世界の日本の、財務大臣である。
『……九条リィナさん。唐突な無礼、お許し願いたい。私は――』
「知ってる。テレビで見たことあるわ。で、何の用? 今、新作の配信アニメが始まったところなんだけど」
大臣は、モニター越しに深々と頭を下げた。
『お願いだ、それ以上「レガシーポイント」を増やさないでくれ! 君が1ポイント発行するたびに、現実の日本円の価値が乱高下し、世界中のスパコンが君の資産計算で焼き切れているんだ! 頼む、経済を救ってくれ!』
リィナはパフェを一口食べ、冷めた目でホログラムを見つめた。
「経済? そんなの私の知ったことじゃないわ。私はただ、このモールを快適にしたいだけ。……あ、もしかして、私を『強制ログアウト』させるつもり?」
大臣の顔が引きつる。
『とんでもない! 運営を全滅させた君を怒らせたら、今度はこっち側の電源を抜かれかねない……。そこで提案だ。君がポイントの発行を止めてくれるなら、君の現実の口座に100億円を振り込み、出席日数も全部『出席扱い』に書き換えよう!』
「100億? いらないわ。ここなら1ポイントで国が買えるもの」
リィナは指先で「印」を描いた。
(印:通信遮断)×(印:逆探知)×(投げ銭:迷惑料10倍返し)。
「おじさん、一つだけ教えてあげる。……私の邪魔をしないのが、一番安上がりな解決法よ。――はい、バイバイ」
パチン、と指を鳴らすと、ホログラムは大臣の悲鳴とともに消滅した。
同時に、現実世界の財務省のメインシステムに、リィナからの「おまけ」として、一生かかっても遊びきれない量の『お菓子ギフト券のデジタルデータ』が送りつけられた。
「……ふぅ。これで静かになったわね。テラ、アニメ観るわよ」
「リィナ、君って本当に……『神様』より神様らしいね」
もはや国家すらも一蹴したリィナは、平和にアニメの続きを再生した。
財務大臣を「おまけのギフト券」で黙らせるという、最高に舐めきった対応(笑)。
「100億より1ポイント」というリィナの価値観は、もう次元が違いますね。




