第23話:『ポイント、時空を超える。 ―1レガシーで国が買える世界―』
神様直伝の裏技で、ポイントを無限化したリィナ。
しかし、そのポイントはもはや単なる通貨ではなく、使うたびに世界を再構築する「創世の力」となっていました。
経済を破壊し、望まずして聖王のような偉業を成し遂げてしまうリィナの、スケールが大きすぎる引きこもり生活!
「……よし、コマンド入力完了。(印:無限の桁数)×(神の権限:資産固定)。――はい、カンスト」
リィナが空中に浮かぶデジタル端末をタップした瞬間、要塞内の全モニターに『ERROR: INFINITY』の文字が躍った。
リィナが持つモール専用ポイント「レガシーポイント」が、ついに計算不能な領域まで増殖したのだ。
「ボス! 大変だ、地上から来た商人が泡吹いて倒れてるぞ!」
ゼノンが血相を変えて駆け込んできた。
「あんたがポイントを増やしすぎたせいで、1ポイントの価値が『金鉱山1個分』になっちまった! 地上の通貨がただの紙屑扱いだ!」
「別にいいじゃない。物々交換の手間が省けるでしょ」
リィナは平然と、新発売の『魔導ゲーミングPC』を1ポイントで購入した。
現在のレートでは、このPC一台で大国が三つほど買える計算になる。
「リィナ、面白いね。経済が壊れる音がするよ」
テラ(元・神様)が、ポテトチップスを齧りながら笑う。
「君のポイントはもはやただの数字じゃない。この世界の『存在確率』そのものだ。君がポイントを1消費するたびに、この世界のどこかで新しい島が生まれたり、絶滅した種族が復活したりしてるんだよ」
「……何それ。買い物するだけで徳を積んでるみたいで気分悪いわね」
リィナは画面を見つめたまま、ふと思いついた。
「ねえ。これだけポイントがあるなら、現実世界にいる私の『親』や『学校の先生』の貯金残高も、勝手に書き換えちゃおうかな。……あ、でもそれやると現実の経済が死ぬか」
「いいよ、やってごらんよ。君が望むなら、現実世界の『0.1秒』を『1億年』に引き延ばして、あっち側もこっち側も全部君の庭にしてあげようか?」
神様の誘惑に、リィナは少しだけ視線を上げ、それからいつものように鼻で笑った。
「結構よ。……私は、この狭いモールで、自分のお気に入りのものだけに囲まれてるのが一番好きなの。世界の王様になんて、疲れるだけでなりたくないわ」
リィナはポチポチと、新しい「もふもふ枕」をカートに入れた。
一回の決済で、地上の荒野が一つ、緑豊かな森へと生まれ変わった。
買い物をするだけで環境保護(強制)が捗るという、究極の慈善事業(笑)。
「世界征服には興味ないけど、もふもふ枕は欲しい」というリィナのブレなさが、世界を救い続けています。




