第21話:『空中モール開店。 ―異世界に消費社会を掛け合わせろ―』
神との交渉を終え、絶対的な自由を手に入れたリィナ。
彼女がその強大な力を使って最初に行ったのは、なんと「超巨大ショッピングモール」の建設でした。
魔王軍の遺産も、処刑卿の技術も、すべては「快適な消費生活」のために。
異世界の常識を、リィナの「経済の掛け算」が再び塗り替えていきます。
「……さて。神様も黙らせたし、いよいよ本気出すわよ」
管理レイヤーから空中要塞に帰還したリィナは、開口一番そう宣言した。
アルヴィス、ゼノン、そして清掃員のサトウ(元魔王)が緊張の面持ちで整列する。
「ボス、次は何を滅ぼすんだ? 魔界か? それとも天界か?」
ゼノンが身構えるが、リィナが指差したのは要塞の広大な空き地だった。
「滅ぼさないわよ。……ここを、世界最大の『ショッピングモール』にするの」
「「「……は?」」」
リィナの指先が、光速の幾何学模様を描き出す。
「(印:空間拡張)×(知識:24時間営業)×(サトウの暗黒流通網)。――ついでに、(現代の物欲)をスパイスに少々」
ゴゴゴゴゴ……!
要塞の一部が猛烈な勢いで変形し、巨大なガラス張りのビル群へと変貌していく。
冷房完備のフロア、動く歩道、さらには「異世界初のフードコート」まで。
サトウが管理していた魔界の希少資源は「限定コスメ」に、アルヴィスの処刑道具の知識は「最高級キッチンナイフ」へと、リィナの掛け算によって強引にコンバートされた。
「ゼノン、あんたのスマホを使って、地上に『チラシ』をバラ撒きなさい。通貨はレガシー。今日からここは、世界で唯一『なんでも揃う』場所よ」
数時間後。
世界樹を登ってきた人々や、ドラゴンに乗ってやってきた貴族たちで、モールは一瞬にして埋め尽くされた。
「おい、この『たぴおか』って飲み物、魔力回復効率が異常だぞ!」
「見て、この『すまほけーす』、防御魔法が10重に掛かってるわ!」
「……ふふ。これでいいわ。みんなが買い物に夢中になってる間、私は誰にも邪魔されずに新作アニメを観るんだから」
リィナは特等席のラウンジで、贅沢なパフェを食べながら、ようやく訪れた「賑やかな静寂」を噛み締めた。
「神を倒してショッピングモールを作る」という、前代未聞の落差(笑)。
しかし、これこそがリィナが求めていた「誰も不幸にならない(でも自分は超楽をする)世界」なのかもしれません。
もはや誰も彼女を止められませんが、このモールに「意外な客」が紛れ込む予感が……。




