第20話:『創造主との対面。 ―バグが神に問うこと―』
運営の心臓部でリィナを待っていたのは、世界の創造主。
絶対的な力を前にしても、リィナのスタンスは変わりません。
「世界を救う」でも「神に代わる」でもなく、彼女が求めたのは「静かな日常を守ること」。
神様すらも脅迫する、リィナ流の交渉術が炸裂します!
「……あーあ。みんな気絶しちゃった」
火花を散らすメインサーバーと、白目をむいて倒れ伏す運営スタッフたち。
リィナが退屈そうに管理パネルを眺めていると、背後の白い空間が、水面に石を投げたように波打った。
「……見事だね。まさか物理次元を越えて、ここ(管理レイヤー)まで来るとは思わなかったよ」
穏やかな声に振り返ると、そこには一人の少女が立っていた。
リィナと同じ年頃に見えるが、その瞳には数万年の星の運行を眺めてきたような、果てしない静寂が宿っている。
「あんたが、これを作ったの?」
「そう。僕はこの世界の『真の作者』。……君が壊した運営たちは、僕が作ったただの自動処理プログラムに過ぎない」
少女はリィナに歩み寄り、空中に浮かぶ一つの「砂時計」を指差した。
そこには、リィナが守り続けてきた現実世界の「0.1秒」が、黄金の砂となって永遠に止まったまま輝いている。
「君は『0.1秒』を『永遠』に書き換えた。それは、僕の物語にはない結末だ。……さて、バグである君に聞こう。神を倒し、世界を手に入れた今、君は何を望む?」
リィナは少しだけ考え、それからいつものように面倒そうに後頭部をかいた。
「望み? ……そんなの大層なものないわよ。ただ、邪魔されたくないだけ」
「邪魔?」
「そう。せっかく村がもふもふになって、メロンもおいしくなったのに。あんたたちが変なイベント起こすから、ゆっくり寝る暇もないじゃない。……ねえ、神様。あんたに一つだけ『掛け算』を教えてあげる」
リィナが少女の額に指先を突きつける。
「(神の創造力)×(私の退屈)。……これで、この世界を『完結』させない、無限の日常に書き換えなさい。それができないなら、今すぐあんたを『0.1秒』でゴミ箱に入れてあげる」
「……ふふっ。あはははは!」
神を名乗る少女は、腹を抱えて笑い出した。
「面白い。神を脅して『何もしないこと』を強要するなんて! いいよ、君の勝ちだ、リィナ」
光が溢れ、リィナの意識は再び空中要塞へと引き戻されていった。
ついに真の黒幕(神様)と対面しましたが、結局「静かに寝かせて」という動機で神を屈服させてしまいましたね(笑)。
これで物語は「運営との戦争」から、本当の意味での「自由な建国・日常」へとシフトしていきます。




