第19話:『お礼参り。 ―運営の心臓部へ、0.1秒の不法侵入―』
メロンともふもふで英気を養ったリィナが選んだのは、運営への「直接攻撃」でした。
ゼノンのスマホをゲートに変え、デジタルの海を渡って辿り着いた運営の心臓部。
神の如き権能を振るっていたスタッフたちは、直接乗り込んできた最強のバグを前に、ただ絶叫するしかありませんでした。
「……よし。メロンも食べたし、そろそろあいつら、黙らせに行こうかな」
もふもふのゴールデンレトリバーを膝に乗せたまま、リィナが不敵に微笑んだ。
度重なる削除プログラム、偽パパ、そしてガチャの嫌がらせ。リィナの堪忍袋の緒は、すでに「掛け算」で粉々に弾け飛んでいた。
「ボス、まさか……直接『あっち側』に行くつもりか!?」
ゼノンが震え上がる。運営のサーバーセンター――そこはこの世界の理の外側であり、人間が行けば存在が消滅すると言われている聖域だ。
「アルヴィス、サトウ。ちょっと留守番してて。……ゼノン、あんたのスマホ、アクセスポートとして借りるわよ」
リィナはゼノンのスマホを空中に放ると、指先で極小の「印」を高速刻印し始めた。
「(印:次元貫通)×(印:データ化)×(投げ銭ボーナス:管理者権限強奪)。――座標確認。実行」
【システム:警告。未承認の外部アクセスを検知。ファイアウォールを展開――突破されました。管理者としてログインします】
「……いってきます」
リィナの体がデジタルな光の粒子となり、スマホの画面に吸い込まれた。
次の瞬間、彼女が降り立ったのは、果てしなく続く白い空間。そこには無数のモニターが浮かび、リィナの世界を監視する「運営」のスタッフたちが、パニック状態でキーボードを叩いていた。
「な、なんだ!? バグが直接ここに現れたぞ!」
「警備プログラムを起動しろ! 削除だ、今すぐ削除しろ!」
「うるさいわね。……ここが、私の世界をいじくってた場所?」
リィナは目の前にあった巨大な「メイン・サーバー」に歩み寄り、軽く右手を添えた。
「お返しよ。(印:無限ループ)×(印:全データ強制バックアップ)。……あんたたちの脳内に、これまでの私の苦労を100万倍にして流し込んであげる」
「ぎゃああああああ!!!」
サーバーセンターが火花を散らし、運営スタッフたちが自分の脳内に流れ込む「リィナの記憶(と膨大な計算式)」に耐えきれず、次々と白目を向いて倒れていく。
「さて……ついでに私のセーブデータ、全部『不滅』に設定しておこうかな」
リィナは管理パネルを適当に操作し、自分の「0.1秒」の世界を、誰にも消せない絶対領域として書き換えてしまった。
ついに「画面の外側」まで殴り込みに行ったリィナ。
運営の脳内に自分の記憶を流し込むという攻撃は、ある意味、どんな魔法よりも残酷で効果的かもしれません(笑)。
これで世界の管理権限もほぼ手中に収めたリィナですが、物語はさらに予想外の方向へ……。




