第18話:『魔王の遺産(課金アイテム)。 ―世界をガチャで書き換えろ―』
元魔王が献上した禁断のアイテム「運営のガチャ石」。
それは本来、世界を破滅させる軍勢を呼び出すためのものでした。
しかし、リィナの「確率操作」という最悪のチートが、地獄の召喚儀式を「最高に平和なもふもふパラダイス」へと変貌させてしまいます。
「主様、ゴミ圧縮のついでに、旧魔王軍の宝物庫からこんなものを回収してまいりました」
新米清掃員サトウ(元魔王)が差し出したのは、禍々しいオーラを放つ「黄金のガチャ石」だった。
運営が、どうしても勝てない時にだけ使用を許したという、世界の理を強制的に抽選する禁断の課金アイテムだ。
「これを使えば、失った部下たちが……いや、なんでもありません! 今はリィナ様の下で働く一介の清掃員ですから!」
「……ふーん。要するに、これを使えば『レアなもの』が出るってこと?」
リィナは面白そうにその石を指先で回す。
「ボス、やめとけ! それは運営が確率を操作してる『呪いのガチャ』だ。まともな物なんて出ねーよ!」
ゼノンが止めるが、リィナが聞くはずもない。
「確率操作? だったら、その確率を『掛け算』で上書きすればいいだけでしょ」
リィナは黄金の石を空中に放り投げ、いつものように複雑な印を刻み込む。
「(印:確率固定100%)×(印:レアリティ無限増幅)×(サトウの暗黒魔力)。――いっけぇ、単発教の底力」
【システム:異常な課金プロセスを検知。SSR排出率を……999,999,999%に設定します】
石が砕け、空中要塞全体が眩い光に包まれた。
次の瞬間。
「ワン!」
「キュイ!」
光の中から現れたのは、凶悪な魔物……ではなく、もふもふした「ゴールデンレトリバー」の群れと、空飛ぶ「パンダ」の群れ、そして村中に降り注ぐ「高級メロン」の山だった。
「……何これ。もふもふ天国じゃない」
「な……!? 私の最強兵団召喚の石が、ただの『癒やし空間生成アイテム』に書き換えられただと!?」
サトウが絶叫する。
「いいじゃない。ゴミも減るし、メロンはおいしいし。……あ、運営が泣いてるわ。『僕のバランス調整が……』だって。ざまぁみろ」
リィナは降ってきたメロンを一つ拾い、もふもふの犬に囲まれながら、至福の表情で一口かじった。
ガチャの確率を9億%にするという、ソシャゲ運営が卒倒しそうな暴挙(笑)。
魔王の遺産すらも、リィナの手にかかれば「メロンともふもふ」に成り下がります。
空中要塞は、もはや要塞ではなく「超豪華なペットショップ兼フルーツ農園」になりつつありますね。




