第16話:『リミッター解除。 ―空を埋め尽くす終焉の軍勢―』
自家発電の代償を乗り越え、ついに元の姿に戻ったリィナ。
しかし、彼女を待っていたのは、運営の加護を得て「無敵」となった魔王軍の総力戦でした。
物理も魔法も通用しない最強の軍勢に対し、リィナが見せたのは、世界そのものの「管理者」としての理不尽なまでの特権行使!
「……あ、やっと戻った」
空中要塞のテラス。リィナの体が光に包まれ、次の瞬間、ブカブカだったパーカーがぴったりと馴染む。元の女子高生の姿に戻った彼女は、大きく伸びをして首を鳴らした。
「ボス、お帰り! だけど、感動してる暇はねーぞ!」
ゼノンが震える指で空を指差す。
要塞の周囲360度。地平線の彼方まで、空を埋め尽くすほどの黒い点――魔王軍の本隊、数万を超える竜騎士と浮遊魔城が、こちらを包囲していた。
中央に座座するのは、魔王直属の近衛兵団。彼らは運営から「世界を消去する権限」の一部を分け与えられ、物理攻撃すら透過するチート仕様を纏っている。
「聖女リィナ。……これ以上、世界の調和を乱すことは許されぬ」
魔王軍の総大将の声が、空を震わせる。
アルヴィスがリィナの前に立ち、鎌を構えた。その背中には、覚悟の重さが滲んでいる。
「主よ……。これほどの規模、しかも運営の加護付きとなれば、さすがの私も……。ここは何とか私が食い止めます。その隙に、貴女だけでも――」
「アルヴィス。あんた、さっき『パパ』とか言ってた割に、私のこと信じてないの?」
リィナはアルヴィスの肩をポンと叩くと、一歩前へ出た。
彼女の瞳が、かつてないほど激しく黄金に燃え上がる。
「運営が力を貸してる? だから何。……この世界の電源は、今、私なのよ。――(印:絶対支配)×(印:因果連鎖)×(投げ銭:全財産オーバーキル)」
リィナが空中に指を走らせる。その軌跡は巨大な回路図となり、空中要塞全体を包み込んだ。
「【レガシー・全自動・一括処理】」
リィナがパチンと指を弾いた瞬間。
数万の軍勢が、まるで「バグった画像のドット」が剥がれ落ちるように、端からパサパサと消滅し始めた。
攻撃でも、魔法でもない。リィナが「存在していいオブジェクトのリスト」から、彼らを一方的に削除したのだ。
空を埋めていた黒い軍勢は、わずか3秒で一掃され、そこには再び美しい夕焼け空だけが残った。
「……ふぅ。これで邪魔者はいなくなったわね。アルヴィス、お祝いに今日は豪華な夕飯にして」
「……は。……御意。もはや、我々の心配など不要でしたな……」
アルヴィスは呆然と、リィナの圧倒的な背中を見つめるしかなかった。
元の姿に戻った瞬間に数万の軍勢を「ゴミ箱」へポイ。これぞリィナ、これぞ掛け算チートですね。
「存在リストから消す」という発想は、もはや戦いではなく「作業」です(笑)。




