第15話:『パパ登場? ―運営の仕掛けた家族ごっこ―』
幼女化し、心まで弱くなったと思われたリィナ。
運営は彼女の記憶から「父親」をコピーし、懐柔を試みます。
しかし、彼女が選んだのは偽りの過去ではなく、この「0.1秒」の世界で築き上げた、不器用で騒がしい仲間たちとの現在でした。
「リィナ、迎えに来たよ。さあ、一緒に家に帰ろう」
空中要塞のゲートに、突如として見覚えのある男が現れた。
現代日本でリィナが不登校になる前、優しかった頃の「父親」と瓜二つの姿をした男だ。その背後には運営のロゴが入った、温かな家庭を象徴するような幻影が浮かんでいる。
「ボス……あれ、本物の親父さんか?」
ゼノンが戸惑い、アルヴィスも主の過去に踏み込めず動きを止める。
幼女化したリィナは、ブカブカのパーカーの裾を握りしめ、じっと男を見つめた。
男は優しく膝をつき、リィナに手を差し伸べる。
「こんな危険な世界、もういいんだ。運営が特別に、君だけの幸せな『過去』を再構築してくれるってさ」
「……幸せな、過去?」
リィナがポツリと呟く。男の口角が、勝ち誇ったように微かに上がった。
だが。
「(印:解像度チェック)×(印:ゴミ箱行き)。……はい、バレバレ」
リィナの小さな指先から放たれた無機質な光が、男の顔を直撃した。
すると、男の皮膚がデジタルノイズとなって剥がれ落ち、中から無機質な金属の骨組みが露わになる。
「な……なぜだ!? 君の記憶から最も『情』に訴えるビジュアルを抽出したはずだぞ!」
「あんた、バカなの? 私のパパは、そんなに歯並び良くないわよ。それに……」
リィナは短い手で、隣に立つアルヴィスの甲冑の裾をギュッと掴んだ。
「今の私のパパ(保護者)は、この暑苦しい騎士と、そこのニートな警備員で間に合ってるの。……偽物の家族なんて、処理落ちの無駄よ。――【レガシー・クラッシュ:思い出の強制削除】!」
「ギャアアアアアア!!」
リィナがパチンと(小さな手で)指を鳴らすと、偽の父親も、周囲の温かな幻影も、すべてがシュレッダーにかけられたように粉砕された。
「……アルヴィス。お腹空いた。今のロボット、壊しといて」
「……御意ッ! このアルヴィス、不肖ながら父の如き慈愛(と重すぎる忠誠)を持って、一生お仕えいたします!」
リィナはプイッと横を向き、赤くなった耳を隠すように歩き出した。
感動的なシーンかと思いきや、歯並びのチェックで偽物を見抜くリィナの冷静さ(笑)。
そして、何気にアルヴィスとゼノンを「家族」として認めたデレ回でもありましたね。




