第108話:『銀河のバウムクーヘン。 ―暗黒物質のチョコチップ、土星の年輪焼き―』
土星の環を焼くという、前代未聞の「宇宙製菓」。
お母さんにとって、科学界最大の謎であるダークマターも、ただの「見た目が黒くて歯ごたえの良さそうな何か」でしかありません。
「太陽をオーブンに、土星を生地に、暗黒物質をチョコに」。
お母さんの圧倒的な調理スキルの前では、宇宙の理すらも「美味しいレシピ」の一部に過ぎないのです。
「……パパ、見て。土星の輪が巨大な棒に巻き付けられて、太陽の熱でじっくり炙られてるんだけど。お母さん、宇宙の『暗黒物質』をバケツに入れて、何回も上から塗りたくって何してるの?」
リィナがスカイハウスのテラスから見下ろすと、お母さんは**(神具:巨大なハケ)×(属性:塗りムラなし)×(印:黄金の焼き色)**を自在に操り、土星のガスと塵を「最高級の層」へと焼き固めていた。
『リィナ。……お母さんは土星の環が「バウムクーヘンの年輪」にしか見えなくなってしまったんだ。……(属性:重力による圧縮)×(印:ダークマターのチョコチップ化)×(事象:全銀河・スイーツ大爆発)。……よし。今、宇宙の9割を占める正体不明のエネルギーは、すべて「ビターなチョコの食感」へと定義されたよ』
「ちょっと! 太陽さん! 弱火よ、弱火ッ!! (神具:特大の霧吹き(ラム酒入り))×(属性:しっとり感の維持)×(印:パサつき禁止)! 表面が焦げたら、あんたのフレアを全部『ガスコンロの種火』に格下げするわよッ!!」
お母さんが、宇宙の虚無から掬い上げた「暗黒物質」をパラパラと土星の環に振りかけた。
「ひっ、お、お母さん! 私は宇宙を構成する未知の質量ですよ! 神々ですら解明できない神秘の力を、100円ショップのチョコチップみたいな扱いで振りかけるなんて――」
「うるさいわね! (お母さんの隠し味)×(印:見た目が黒いならチョコ)×(強制:サクサクのアクセント)! 正体が不明なら、とりあえず『美味しいもの』にしておくのが主婦の知恵よッ!!」
お母さんがおたまを一閃させると、ダークマターは芳醇なカカオの香りを放ち、土星のバウムクーヘンに絶妙な苦味を加えた。
「(印:無限のティータイム)×(属性:神々の堕落)×(投げ銭:ブラックホールへの生クリーム投入)!」
リィナが指を鳴らすと、この「闇のバウム」を食べた天界の神様たちが、あまりの旨さに「……もう、世界平和とかどうでもいいや……お代わり……」と、闇の力(糖分)に目覚めて自堕落なニートへと変貌していった。
「……あーあ。全宇宙の神話が、お母さんの『3時のおやつ』の前にひれ伏しちゃった」
「いいじゃない、甘いものは世界を救うのよ! さあパパ、次は天の川の『ミルクティー化』に着手するわよッ!!」
お母さんの仕切りにより、宇宙の神秘は「美味しい茶菓子」へと解体され、銀河は甘い香りに包まれた巨大なティーサロンへと変貌するのでした。
第108話、ありがとうございました!
「ダークマターをチョコチップにする」という、物理学者が泡を吹いて倒れそうな発想(笑)。
神様たちが闇の力でニート化する姿、九条家シリーズらしいカオスですね。




