第104話:『天空の九条家。 ―太陽のアイロン、銀河のプレス機―』
白くなりすぎて「雲」だと勘違いした玄関マット。
その勘違いが九条家を成層圏へと連れ去りましたが、お母さんにとっては「太陽をアイロンにできる絶好のチャンス」。
1億度の核融合すらも「頑固なシワ」を伸ばすためのエネルギーに変換するお母さん。
太陽系最強のクリーニング屋は、今や宇宙の果てまで出張サービスを開始したのです。
「……パパ。窓の外、雲の上なんだけど。玄関マットが『俺は白い! つまり俺は雲だ!』って叫びながら、家ごと成層圏まで浮上しちゃった。お母さん、ベランダで太陽を掴んで何してるの?」
リィナが震えながら外を見ると、純白に漂白された玄関マットが巨大な「翼」のように広がり、九条家を吊り上げて高度3万メートルを爆走していた。
『リィナ。……マットに宿った「意志」が、お母さんの漂白剤によって「潔癖の極致」へと進化したんだ。……(属性:浮遊する純白)×(印:天界への帰還)×(事象:スカイハウス化)。……よし。今、九条家は全宇宙で最も太陽に近い「物干し場」になったよ』
「ちょっと! 太陽さん! そこ、動かないでッ!! (神具:巨大な霧吹き)×(属性:シワ取り)×(印:熱伝導の極致)! せっかくの強火(日光)なんだから、パパのワイシャツを一気に仕上げるわよッ!!」
お母さんが、ベランダから身を乗り出し、**(神具:銀河の防熱手袋)×(属性:耐熱1億度)×(印:プレス機)**を手に、太陽の表面を「アイロン台」として使い始めた。
「ひっ、お、お母さん! 私は恒星です! 宇宙を照らすのが仕事で、パパさんの襟元のシワを伸ばすために燃えてるんじゃ――」
「うるさいわね! (お母さんの時短術)×(印:核融合アイロン)×(強制:ピシッとした仕上がり)! 1秒で乾かないなら、あんたの黒点を重曹で磨き上げるわよッ!!」
お母さんが太陽の熱を直接ワイシャツに押し当てた瞬間、宇宙空間に「ジュワッ!」という、次元の歪むような蒸気の音が響き渡った。
「(印:紫外線の有効活用)×(属性:殺菌消毒)×(投げ銭:太陽への冷たい麦茶)!」
リィナが指を鳴らすと、お母さんのアイロンがけに合わせて、太陽のフレアが「スチーム」として最適化され、パパのシャツは神話級の輝き(と除菌効果)を纏って完成した。
「……あーあ。太陽系の中枢が、お母さんの『アイロン台』として再雇用されちゃった」
「当然よ! こんなにいい熱源があるのに、使わないなんて『もったいない』でしょ! さあパパ、次は水星の近くで『急速冷凍』して、お刺身を締めるわよッ!!」
お母さんの仕切りにより、九条家は宇宙の天体を「調理器具」として巡る、究極のグルメツアーへと突入するのでした。
第104話、ありがとうございました!
「太陽に直接アイロンをかける」という、もはや神話を超えた家事(笑)。
太陽が「襟元のシワを伸ばすために燃えてるんじゃない」と正論を吐く姿が不憫でなりません。




