第102話:『摩擦ゼロの銀河。 ―彗星のスリップと、宇宙のスタッドレスタイヤ―』
第101話の大掃除の余波。
お母さんが良かれと思ってかけたワックスが、宇宙を「超巨大なスケートリンク」に変えてしまいました。
物理学者たちが「摩擦の消失」に頭を抱える中、お母さんはタワシ一本で宇宙を「スタッドレス化」。
神々の乗り物も、今や九条家指定の「滑り止め」なしでは運行できないのです。
「……パパ、窓の外見て。流星群が『おっとっと!』って言いながら、カーブを曲がりきれずにブラックホールへ突っ込んでるんだけど。宇宙、凍結してるの?」
リィナが望遠鏡を覗くと、お母さんが磨き上げた銀河の床(真空)が鏡のようにピカピカになりすぎて、天体たちが慣性制御を失い、あちこちで「宇宙規模の玉突き事故」を起こしていた。
『リィナ。……お母さんは昨夜、宇宙の「自転レバー」を抜いた隙に、全宇宙に「超撥水・フッ素コーティング」を施してしまったんだ。……(属性:摩擦係数ゼロ)×(印:ワックスがけの極致)×(事象:全銀河のスリップ)。……よし。これで、光速で走る光すらも滑って、真っ直ぐ進めなくなったよ』
パパが指を鳴らすと、太陽の光が九条家の窓ガラスで滑って跳ね返り、隣の田中さんの家の物干し竿を熱線で焼き切った。
「ちょっと! 何よ、うるさいわねぇ! 滑るなら滑らないように工夫しなさいよッ!! 宇宙のルールより『交通安全』が優先よ!!」
お母さんが、物置から(神具:使い古しのタワシ)×(属性:滑り止め加工)×(印:スタッドレスタイヤの真理)を抱えて飛び出してきた。
「いい? 滑るのが嫌なら、足元に『摩擦』を植え付ければいいのよ! (お母さんの応急処置)×(印:天体への滑り止めシート)×(投げ銭:彗星への荒縄)! ほら、彗星さん! これを核に巻きつけなさいッ!!」
お母さんが、光速で滑走するハレー彗星の尻尾を素手で掴み、表面をタワシでゴシゴシと削って「滑り止め」を施した。
「(印:グリップ力の回復)×(属性:安全運転)×(強制:宇宙の速度制限)!」
リィナが指を鳴らすと、お母さんに「お仕置き(目立て)」をされた天体たちは、キュキュッと音を立てて宇宙空間に踏みとどまり、安全な軌道へと復帰していった。
「……あーあ。お母さんのせいで、全宇宙の天体が『スタッドレス仕様』のザラザラ肌になっちゃった」
「いいじゃない、事故が減るんだから! さあパパ、次はブラックホールの入り口に『足拭きマット』を敷きに行くわよッ!!」
お母さんの仕切りにより、全宇宙は「滑らない、転ばない、汚さない」という、九条家の厳しい安全基準によって管理されるのでした。
第102話、ありがとうございました!
「ハレー彗星を素手で掴んでタワシで削る」お母さん(笑)。
ブラックホールの入り口に足拭きマットを敷くという、もはや玄関扱いなスケール感がたまりません。




