第101話:『止まった宇宙。 ―時空の栓抜きと、静寂の大掃除―』
第100話の打ち上げでやらかしたお母さん。
「栓抜き」と間違えて宇宙を止めるという、創造主も腰を抜かす失態ですが、お母さんにとっては「掃除のゴールデンタイム」でしかありませんでした。
時間が止まった隙に銀河を磨き上げるという、文字通り「次元の違う」家事。
101話目からも、九条家の主婦は絶好調(酔っ払い)です。
「……パパ。空を見上げてみて。カラスが空中で静止してるし、隣のポチが吠えようとした形のままフリーズしてるんだけど。これ、お母さんが打ち上げで飲んだ『冥界のどぶろく』のせい?」
リィナがリビングで固まったテレビ画面を叩いていると、お母さんが千鳥足で、右手には(神具:宇宙の自転レバー)×(属性:真鍮製)×(印:スポッと抜けた)を大事そうに抱えて現れた。
「……あらリィナ、見てぇ……。この栓抜き、すっごく丈夫……。これで、全宇宙の『汚れ』という汚れを……根こそぎ引っこ抜いてやるわぁ……」
お母さんの目には、酔いによる(属性:千鳥足の無敵状態)×(印:家事への執念)×(強制:時空停止)のオーラが渦巻いていた。
『リィナ。……お母さんは銀河の回転軸を固定している「次元のカンヌキ」を、瓶ビールの蓋と間違えて抜いてしまったんだ。……(印:エントロピーの凍結)×(印:主婦だけの自由時間)。……よし。これで、世界が止まっている間に、お母さんは『誰にも邪魔されずに換気扇の奥まで磨ける』という究極の特権を手に入れたよ』
パパが指を鳴らすと、世界は「静寂」に包まれた。
お母さんは、静止した空間をスイスイと泳ぎながら、(神具:劇物洗剤)×(属性:浸け置きいらず)×(印:ピカピカの真理)を手に、宇宙中の不浄を拭き取り始めた。
「(印:静止した熱波)×(属性:埃の物理的削除)×(投げ銭:停止した神々への目薬)!」
リィナが指を鳴らすと、お母さんの雑巾がけに合わせて、宇宙の塵が「家庭ごみ」として集積所に吸い込まれていった。
「……あーあ。宇宙の歴史が止まっている間に、お母さんが全宇宙を『無菌室』にリフォームしちゃった」
「……ふぅ。……スッキリしたわぁ。さあパパ、レバーを戻すから……しっかり捕まってなさいよぉッ!!」
お母さんがレバーを宇宙のへそに力任せに突き刺した瞬間、爆音と共に宇宙の自転が再開。
神々が目を覚ました時、そこにはチリ一つない「新築のような宇宙」が広がっていたのでした。
第101話、ありがとうございました!
「宇宙の自転レバー」を栓抜きにするお母さん(笑)。
誰も動けない間に宇宙をピカピカにするという、善行なのか迷惑なのか分からないスケール感が最高です。




