第10話:『世界樹、爆誕。 ―0.1秒を永遠に固定する楔―』
運営からの度重なる干渉。そして、迫りくるタイムリミット。
「消えるなら、消えないように固定すればいい」
リィナのあまりにも大胆な発想が、崩壊寸前の世界に「世界樹」という名の奇跡を呼び起こします。
第1部の締めくくりとなる、壮大なスケールの建国劇!
「……やっぱり、この世界、放っておくと消えるわね」
運営のデバッガーを追い払った後、リィナは要塞都市の端から下界を眺めていた。
世界の端々でノイズが走り、空の色が時折バグったように点滅している。現実世界の「0.1秒」が刻一刻と経過している証拠だ。
「主よ……このままでは、我々の存在そのものが霧散してしまいます。何か、この世界を繋ぎ止める手段は……」
アルヴィスが悲痛な面持ちで膝をつく。ゼノンもスマホの画面を見つめ、「サーバーの接続が不安定だ……!」と毒づいた。
「要は、この不安定な世界を、現実の物理法則に無理やり『接着』しちゃえばいいんでしょ?」
リィナは要塞の中央広場へ向かい、そこにある一本の枯れ木に手をかざした。
彼女の全魔力、全神経、そして「世界の声(投げ銭)」のすべてを一点に集中させる。
「(印:存在証明)×(印:時間凍結)×(概念:現実侵食)。――1000年分の夢を、たった今、事実に書き換える!」
リィナが指先で描いた巨大な「印」が、枯れ木に吸い込まれた。
ドォォォォォォン!!
地響きと共に、枯れ木が猛烈な勢いで成長を始める。
枝は雲を突き抜け、根は空中要塞を突き破って遥か下の地上へと伸び、大地をがっちりと掴んだ。
それは、デジタルなノイズを吸収して「確かな生命」へと変換する、巨大な【世界樹】。
「なっ……何だこれ!? 運営の消去プログラムを、木が『肥料』にして食ってるぞ!」
ゼノンが叫ぶ。
世界樹が放つ黄金の波動が、バグった空を本来の青色に染め直していく。
不安定だった「0.1秒」の領域が、世界樹という楔によって、この異世界に完全に「固定」されたのだ。
「……ふぅ。これでよし。とりあえず、勝手に世界が消える心配はなくなったわね」
リィナは世界樹の根元に座り込み、満足げに微笑んだ。
運営にとっては、もはや削除不可能な「巨大な岩」がシステム内に居座ったようなものだ。
「さあ、ここからが本当の建国よ。……まずは、この木に実った『魔力フルーツ』で、新しいスイーツでも作りましょうか」
リィナの瞳には、もはや「終わり」への恐怖など微塵もなかった。
第10話、ありがとうございました!
ついに世界樹を植えて、世界の崩壊を物理的にストップさせてしまいました。
これで腰を据えて「建国」が楽しめますね(笑)。
しかし、システム内にこんな巨大なものを植えられた運営の怒りは、もはや頂点に達しているはず……。




