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第一章:第一話 「ああ......英雄よ」

ご覧いただきありがとございます!

注意事項

・今作のジャンルはハイファンタジーです。思いもよらない展開が書かれる可能性がありますのでご了承ください。

・作者は素人です。大目に見てくださいませ。

気がつくと僕は瓦礫の上に寝そべっていた。


「一体僕は何を・・・。ッ!?頭イッタ!?」

激しく体を打ちつけたのだろうか。

頭だけでなく全身の随所からじんじんと痛みを感じた。

辺りを見渡すと街の衛兵さん達や町人のみなさんが瓦礫の撤去や建物の修復作業を行なっていた。


「あ!お兄ちゃん起きた!」

何が起こっているんだと周りをまじまじと見ていると、いつものように可愛らしい声で呼ぶ声が聞こえた。

末っ子の妹のエルムだ。


「本当か?!ああ良かった。あと1分くらい寝てたら火葬行きだったぜ。」

声の聞こえた方を見るとエルムと一緒に同じく妹のニコラも一緒だった。


「火葬って…。何があったんだ?なんかすごく頭と体が痛いんだけど...........。」

「何って…にいに覚えてないのか?さっきドラゴンにぶっ飛ばされてたろ?」

「え?」

「そうだよー?お兄ちゃんねリードラゴンと目合ったら固まっちゃってね(緊張して動けなくなること)!そのまま殴られて500d(diuはメートルの2分の1)くらい飛ぼされてたよ!」

僕はどうやらドラゴンにやられたらしい。なるほど。どおりで右に見える建物たちが連続して壊れているわけだ。

うん。切実に恐ろしい。生きているのが奇跡だ。


「頭痛いのか?多分その時にぶつけたと思うから安静にしてろよ。」

そう言うとニコラはエルムを置いて衛兵さん達の手伝いに向かった。

「お兄ちゃん緊張しちゃうとすぐ固まっちゃうもんねー。」

「……ごめん。僕が弱いから……。」

「全然大丈夫だよ!お兄ちゃんはみんなのために動いてくれているからそれだけでも十分だって!

だけどすぐに緊張しちゃうのは直した方がいいけどねー。エヘへ。」

エルムはニコッと笑い情けない僕にそう言葉をかけた。と同時に疑問に思った大事なことを僕はエルムに聞いた。


「……あ!そういえばドラゴンはどうなったんだ?」

「お兄ちゃんぶっ飛ばしたあとどこか飛んでっちゃたの。」

「え?!じゃあ戻ってくるかもしれないじゃないか!」

「そーそー。だから今みんなでどうするー?って話してんの。」

リードラゴンは数体の群れになって行動をする小型のドラゴンだ。奴らはずる賢く自分たちが不利になったら即座に逃げてゆき、時間をおいて再挑戦してくる厄介者だ。そいつらを殺せずに逃したら最後。徹夜確定だ。非正規衛兵である僕たちも夜通しで警戒体制でいないといけない。


「うわ〜。じゃあ今日は徹夜じゃん。もうやだぁ。」

僕が頭を抱えうおーんっと嘆いているとそこに作業が一通り終わった妹のレナと弟のラトルが足の靴をカツカツと鳴らしながらやってきた。


「相変わらず情けないわね。大丈夫?」

レナは僕に対してはいつも塩顔でこの態度だ。きっと僕のことが嫌いなのだろう。そして、


「あ!お姉ちゃんと......お猿さん!」

「誰が猿じゃ!」

「お姉ちゃんもうあっちの魔物倒したの?」

「無視をするな!」

「ええ。ラトルが頑張ってくれたのよ。あと少なかったし。」

「ふーーん?そうなんだーー?すごいねーーー?」

「お前…!バカにしおって…!」

エルムとラトルはいつもこの調子だ。仲がいいやら。仲が悪いのやら。

ただ二人が大喧嘩したところは一度も見たことがない。


そんな兄妹の一番上の兄である僕。パリス・メンタジュンには人生最大の目標であると同時に長く僕を苦しめてきた夢がある。それは()()になるという夢である。


ーー

「うんうん。擦り傷以外は大きな問題はありませんね。頭をぶつけたと言っていましたが命や障害に関わることはなかったので安心してくださいね。」

「ア…アリガトウゴザイマス。」

いつも検診してくれるメイデン先生が優しくそういってくれた。僕が駆け出しの頃からずっと怪我の治療をしてくれている優れた医者で人生相談にものってくれる。僕が信頼をおく人間の一人だ。


「いやーでも日々戦っているだけありますね!本来ならドラゴンの攻撃を受けた時点で粉々ですよ?攻撃の受け流しと受身が上手くできている証拠です。いつも街を守ってくださりありがとうございますね。」

「ア…ハイ…へへ。」

メイデン先生は非正規衛兵である僕にもこうやって感謝をしてくれる。めちゃくちゃいい人。大好き。

なので今回も新しい相談をすることに決めた。


「そういえばその先生......僕にはバロウズはないのでしょうか?」

「......?なぜそんなことを聞くんですか?別にパリスさんにバロウズは必要ないのでは?」

「バロウズって精神力が優れているものにしか現れないんですよね?」

「........ああ。プチノイド(導く者)の話ですか......。そうですねぇ......。んー。ほぼ哲学のような話になってしまいますが…パリスさん今まで生きてきて誰もいないのに話しかけられたと感じたり、夢で知らない人に話しかけられたりとかする経験をしたことがありますか?」


もちろん無い。いや。そもそもそんな怖い体験はしたくもない。

「ない......です。」

そう答えるとメイデン先生は眉を顰め、ため息を吐いた。どうやらバロウズを発現させるにはそんな怖い体験をしなくてはならないらしい。


「んー。では発現する確率がさらに低いですね。」

「そうですか...........。」

「ですが英雄ヘロス・マグナのようにバロウズを持たず、ポテンティアだけで邪神と戦った人もいるのでバロウズを持っていなくても十分に戦えると思いますよ。」

メイデンさんはそう言っているが僕には必要なのである。


プチノイド(導く者)』。それは邪神を殺せる唯一無二の武器だ。だが誰でも持てるわけでもなく選ばれた者。『神の素質がある者』だけがそれを持つことが許される。そしてバロウズの発現はそのプチノイドを持つための前提条件のようなもの。

そう。バロウズを持っていない僕は話にもならないってことだ。


「........。」

「パリスさん?」

「あ!はい!すいません。」

「............パリスさん。バロウズを持つことで必ずしもプチノイド(導く者)を持てるってことでは無いですよ?例外はあります。あなたは少し考えすぎなんですよ。もうちょっと気楽にいきましょう。あなたは頑張っているんですから。」


「頑張っている。」..........か。

それだけでプチノイド(導く者)を持てるんだったらどれほど楽だろうか。

いや。そもそも、僕なような人が持ったところで本当にこの大陸は救われるのだろうか?

自分で決意したことだが、本当に自分がやってきたことは意味があるのだろうか?

夕陽が差し込む検診室の中で僕はそう思った。


ーー

衛兵さん達に挨拶をほどほどに済ませ、暇になった私。レナ・メンタジュンは兄であるパリスを診察所の前で待っていた。兄はいつも無理をしてここに運ばれる。最近は特にここにお世話になることが多くなったような気がする。


「もうすぐ二月か.........。」

夕陽を見ながら私は呟いた。思い出したが今年の四月にはオプテムン王国で騎士試験が行われるようだ。

4年ごとに行われる参加人数が毎回10万人を超えるとても大きな試験だ。

私もそろそろ、その試験を受けてガンおじさんに借りを返したいのだが、どうやらニコラ達もパリスも同じようなことを考えていたらしい。全員の準備ができたら一緒に行こうという話になった。

そして三週間後には行こうという事になったがこのところのパリスの様子がおかしい。


「ガチャ」

そんなことを考えながら待っているとパリスが診察所から出てきた。

「ん。どうだった?大丈夫?」

「ああ........。大丈夫だってさ。」

怪我の影響だろうか?今のパリスはため息をつき足を重たそうに引きずっている。

いや。またネガティブなことを考えていたに違いない。いつもそうだ。


「今日はどうしたの?」

「僕ってさ......。三週間後にまでプチノイドを持てるのかな?」

私の兄は英雄になれないと騎士になりたくないらしい。

まるで子供のようだ。馬鹿馬鹿しい。


「さあね。........メイデン先生が前に言ってたわよ。バロウズがなくても戦かえるって。」

「それはその人がすごいだからだろ?僕にはその人のような実力もないし体も持ってない。」

情けない。本当に。

英雄を目指している者がこんなのでなれるわけがない。

「…はぁ…じゃあなんであの時邪神を倒すって言ったの?」

疑問に思ったことをパリスに聞いた。

すると、兄は怒った。


「それは昔の話だろ!どうせ僕はこれからもずっと魔物を倒すためのバロウズも邪神を倒すためのプチノイドも持つことができない!.........僕ならできると思ってたんだ邪神を倒してこの世界を平和にするって!......でも大人になっていくにつれてだんだんわかってきてしまったんだ。僕には無理だ…。」

「ごめん…酷いこと言って。」

そう言うとパリスはその場から逃げるように私を置いて先に行ってしまった。


14年前の私の兄はこんな男ではなかったのに......。

ーー


ご覧いたただきありがとうございました!

不定期更新ですが月2目標です!次回もお楽しみください!

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