8話 先輩との再会
完結まで毎日投稿(午後8時50分ごろ)目指します。
帰る途中、僕は別の便利店に立ち寄った。
そこで、僕は先輩と再会した。
「あ、先輩久しぶりです」
「あ、お前か」
先輩の変化に気づく。「あれ、先輩角刈りじゃありませんでしたっけ? ずいぶんさっぱりしましたね」
「ああ、変えたんだよ。イメージチェンジだ」
そのとき、米粒侍さんが後から来店してくる。
「お、お前は米粒侍」
「なんだ、米粒を残した貴族じゃないか」
「き、貴族!? 先輩、貴族だったんですか」と先輩を見る。
「いやいや、違うって誤解だって。実家はただの地主階級だよ。対した土地も持ってない」
「しかし、あのとき貴族だと」と米粒侍が追求する。
「あのときは後輩にかっこつけたかっただけだよ。給料日が入ったから……」
そのとき、先輩はなにかを思い出したようだ。
「すみませんでした!」
僕に頭を下げてきた。
「え? どうして」
「俺、あなたの給料を横取りして、それでファミレスで豪遊してしまったんです」
「やっぱりか」
そうだ。先輩は僕の大切なお給料を全額引き出したんだ。
「許されざることだ。レイバーのわずかなお給料を奪うのは、盗みをしろと強要しているようなものだぞ」と米粒侍さんがお説教。
「すみませんでした」
「それで、お前は便利店のレイバーに戻ってきたのか」
「もう、どうしようもないんです。親は地主だけど、俺次男なんだから土地を譲っもらえないし、このままだと本当にレイバーになってしまう!」
「なんだ。レイバーになるのが怖いのか?」
「俺、就活してなくて、してもどうせ内定なんて得られない」
「諦めが早すぎるんじゃないか」と米粒侍さんがいう。
なんか自分が言われている気がして胸が苦しくなった。
僕も就活で内定もらったそこそこの企業をすぐやめてしまったから。今考えると、そこまで絶望的な状況じゃなかった。懲役を食らっているわけでもなかったし。
仕事を辞めてからすぐに就活することだってできたはず。でも、面倒くさくなってすべてが嫌になって甘えて……。
その結果が前の人生の顛末。
「先輩、僕と一緒にやり直しましょうよ」
その時、またあの画面が出てきた。
スキル『光栄ある孤立者の唯一の同盟者』を発動しますか?
はい
いいえ
今度は迷わない。はいを力強く押した。
スキル『光栄ある孤立者の唯一の同盟者』が発動します。
先輩が言う。「ごめんな。俺、本当はお前のことバカにしてたんだ。俺はまだ学生で、お前は懲役刑食らったレイバーだったから。でも、すごいよ。普通給料全額取られたら怒るぞ? 正直殴られると思ったし、許されないと思った。だから償いをさせてほしいんだ。お前と一緒にやり直したい。いや、協力させてほしい」
「はい。やり直しましょう。ただ、盗んだ給料分は返してくださいね」
「ああ。必ず返すよ」
スキル『光栄ある孤立者の唯一の同盟者』の効果で先輩が同志に加わります。
テキストを確認する。これで先輩が仲間になった。
「よくやった、余侍。これで3人目だ」
「でも、このまま仲間集めしてもしょうがない気がするんだよな」
「そろそろ次の段階に進むべきか」
「どういうこと?」
「レイバーたちの救済だ」
「でも、どうやってやるんだよ」
「余侍。お前が便利店を経営するんだ」
「何言ってるんだよ米粒侍さん」
「そもそも仲間集めをしていたのは便利店のシフトを埋めるためだ。できればあと1人ほしいところだが、それと並行して便利店経営の準備をしなければ」
先輩が言う。「あの~。米粒侍さん。便利店経営って大変なんですよ。いろいろ資格を取得したりしないといけなくて、しかもこの辺りは便利店の激戦区なんです」
「確かに問題は多い。だが、オーナーになれば問題ない」
「いや、オーナーって」
「二人が働いている店があったな。あそこを手に入れるぞ」
『ええ!』
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