5 エーデルフリートは魚とり名人!?
寝床を確保したあと、リタたちは水と食料を探すため、森を探索していた。
人がいないこの島は動物たちの楽園だ。
鳥の合唱が聞こえ、茂みからはキツネやタヌキが顔を出す。
低木には木いちご。頭上に広がるツルには山ぶどうの実が成っていた。
『おお、あれは山の恵み。皆のもの、あれを我に捧げよ!』
「ぴーたんはそこの雑草でも十分生きられるでしょうが。食料は子どもたちに優先的に回しなさい。手出ししたら焼肉にしてやるから」
『ぐぬぬぬ』
ぴーたんが悔しそうにうなりながら、目の前に伸びている雑草をはむ。意外と美味しかったのか無心でもりもり食べはじめた。
シンディが山ぶどうのツルを掴んで、ルーシーの取れる高さに下げる。ルーシーとミィがピョコピョコはねて収穫する。
しばらく歩くと川のせせらぎが聞こえてきた。
「わぁ! 川があります! お水、お水汲みましょう!」
ルーシーが嬉々として走り出した。
「ルーシー! はぐれるとわりぃすけ、あんま遠く行ったらなんねぇ」
リタも足を早めてルーシーを追う。
覗き込むと川底や泳ぐ魚が見えるくらい、水が澄んでいる。
「これを沸かして飲めるなら水の心配はしなくていいわね」
シンディがバケツを川に沈めて、水を組み上げる。
「おぉ、竹が生えてるでねぇか! これを切って湯呑みや皿にしよて」
「へぇ。リタのとこではバンブーのこと竹って呼ぶのね。これ、あたしの故郷にも生えていたわ」
リタが回収した農具の中にナタもある。
リタは慣れた手つきで竹に刃を入れ、一本切り倒した。
運びやすいよう、抱えられる長さに切り分けてツルでしばる。
エーデルフリートは川をじっとのぞき込んで、靴を脱いだ。
「すぐそこに魚がいるんだから、なんとかして取れないかな。人馴れしてない魚なら手掴みできちゃったりして!」
「さすがに手掴みは無理なんじゃない?」
「やってみなきゃわかんな……。わわ、足に魚が」
エーデルフリートの姿がマンドラゴラに変わった。
『ギィャアアアアアア!』
動物のメスでも呪いが発動すると言っていたが、魚もアウトらしい。
みんなが一斉に耳をふさぎ、またも超音波の直撃を食らったぴーたんが気絶する。
木の枝にとまっていた鳥たちが落ちてきた。
魚も例外なく気絶して、川面にぷかりと浮かび上がってきた。
ざっと見て数十匹。
数日食べるのに困らないほど大漁である。
『ギァァオゥ!!』
マンドラゴラになったエーデルフリートは楽しげに飛び跳ねて踊っている。この状態だと人の言葉を話せないが「やったぜ!」と言っているのはなんとなくみんなに伝わった。
捕まえるつもりのない鳥や動物にまで被害が及んだため、次回からエーデルフリートを森の探索チームから除外することが決まった。
☆気絶した鳥やその他の動物さんたちは、あとで目を覚まして逃げました。