35 冬に向けて備蓄作り!
水路作りが決まってから、男性陣は毎日スコップを担いで山に入っていく。
女性陣は拠点にて、備蓄食作りに勤しんでいる。
もうすぐ冬が来るため、食料を取りに山に入れないことに備えてだ。
山のベリー類をとれるだけ摘んで、ジャムにする。
ジャム作りはサラとルーシーが担当している。
じっくり煮詰めてアクを取りながら水分を飛ばし、砂糖を加える。甘い香りがキッチンに漂う。
「みんな、味見してくれるかい」
サラが少しずつ取り分けてくれたものを薄切りのパンに乗せていただく。
「うまいのー」
リタは口の中に広がる酸味と甘味に大満足だ。大自然の恵みを感じる。
フレイアもパンをほおばって目を輝かせている。
「本当に、美味しいな。これなら毎日でも食べられる」
「あっはっは。毎日食べたらすぐになくなっちまうよ、フレイア」
「でもでも、気持ちはわかります! ルーシーもこのジャムすごく好きです」
ルーシーも木の実が大好きだからとても嬉しそうだ。
ジャムの他にも作るものはある。
リタは外に出て、天日干ししていた魚の開きを回収する。
例によってエーデルフリートがマンドラゴラ化して気絶させるマンドラゴラ漁でとった魚たちだ。
丁寧に内臓を取って塩引きし、風通しのいいところに吊るしている。
日中だけ干して夕方には回収、そしてまた晴れた日に干す。
これをくりかえして今日で五日目だ。
「だいぶ乾いたの。あとは涼しいところに保管して、焼いて食べられる」
「リタはもとお嬢様なのに、そんな知識まであるんかい」
サラに不思議そうにされて、リタは苦笑いする。
「これはおれの知識でのうて、大地の神さまの教えらよー」
ということにしておく。
前世の知識であると知っているのは最初の漂流組だけだ。
兄含め新メンバーが増えるたびに「108歳まで別の世界で生きていました」と説明するのはまあまあ面倒なことである。
「大地の神さまってのはすごいんだね」
「神さまに感謝せにゃなぁ」
あとはナスやニンジン、大根などの野菜を千切り、薄切りにしたものを天日干しして、干し野菜にしてある。
これもまた水分を飛ばしてあるので長期保存が可能だ。
備蓄は多いにこしたことはない。
干し野菜はカゴに収納して、備蓄庫に保管する。
「ある程度できたらおれらも水路作りに参加せな」
「はいです!」
クシェル島にもうすぐ冬がやってくる。





