人参のロケットと大根のロケット
人参を輪切りにしたような色の満月の夜。
大根役者と世間からバカにされた芝居小屋で働いていたおじいさんは、故郷の田舎に里帰りしていました。
畑に光り輝く人参がありました。
おじいさんが不思議に思いながら近づいていくと、
人参の中から小さな兎がうまれました。
みるみるうちに大きくなって、楽しそうにぴょんぴょん飛び跳ねました。
大根を輪切りにしたような色の満月の夜。
兎は嬉しそうに人参をかかえて、満月を指さしました。おじいさんも大根をかかえて、満月を指さしました。
キャロットのロケット。人参のロケットで兎は月へ一緒に帰ろうと、おじいさんの手をにぎります。
おじいさんも大根のロケットで月へ向かいます。
月で餅つきをしている兎達から、お餅をもらった兎とおじいさん。
「おいしいね」
「また遊びにきてね」
「もちろんさ」
おじいさんは地球へ帰りました。
大立者になりましたとさ。