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プロローグのモノローグ
――会社をクビになった。
些細なミスだった――。
小学生の時、算数の授業に「分度器」と「ふんどし」を間違えて持って行ったのと同じくらいの些細なミスだった。ただ小学生の時は咄嗟に機転を利かせ、ふんどしで角度を測ったので事なきを得たが、今回はどう機転を利かせてもふんどしを海パン代わりにする事が出来なかった。なので私は会社をクビになった。
――さてどうしたものか?
この先の生活を考えると、焦って裸エプロンでコンビニ強盗をしたり、全裸でオレオレ詐欺をしなければならないほど貯えがない訳ではない。しかしだからといって再就職もせずにノンビリと変態の中から紳士、紳士の中から変態を探しているほどゆとりがある訳でもない。まあ、結局のところ再就職は焦る必要はないが簡単でもないという事なのだが――
一先ずアルバイトでもするか?
それが私の出した結論だった。