もふもふ、ショタ、ガチでそれだけ
僕は、安曇千月。
中学2年生。だったんだけど・・・。
なんで今、おっきな獣に囲まれてるんでしょうか・・・。ちょっとでかすぎて怖い。
見たところ、狐、猫、犬?と鳥がいる。
狐は白くてふわふわした長毛をなびかせていて、すごい綺麗だ。
猫は真っ黒で爪まで黒かった。目は真っ青で海みたい。すごい毛並みがつやつやしていて、思わず触りたくなってしまう。
犬・・・というか、狼だな。真っ白の体に青いたてがみ。風を描くように、くるんっていうのが時々、青色で体に入ってる。
鳥は真っ赤で尾が長い。それ以外言えない。
狐が僕の方によってきた。このまま食べられちゃうのかな・・・そう思って目を閉じる。
すると、顔にもふもふの感触が近づいてくるのがわかる。ここで終わるんだ・・・。
『おい、勝手に死ぬな』
低い声が頭の中に響いてきた。え?だれ?
『あ〜、俺はお前の目の前にいる白狐だ』
パチっと目を開ける。え?獣が話してる。
「はなせるの?」
ん?ちょっとまて、それ以上におかしいことが・・・。
「あーーーーーー」
うん、声高くなってる。下に目を向けて、手を動かしてみる。ちっさ!こんなに小さい手が俺に付いてるわけないし・・・。
立ってみる。ほあ〜。これはこれは。
「う〜ん」
『おい、一人で唸っているな』
「うわっ」
ヒョイッと持ち上げられて、気づく。異世界転生してね?だって、周り見回しても、緑。緑。白、あ、獣さん。
というより、この狐は白狐らしい。まあ、そうだろうな。
『お前、自分のことわかるか?』
「ううん。ここどこ?」
まあ、なんとも優しい白狐さんで。でも、この体制は止めてほしい。白狐さんが、僕の服の襟?的なとこを掴んでるから宙ぶらりんだし、喉が絞まっているので息がしにくい。
『ここは、グリフェルの森。お前は、誰だ?俺たちは、神の加護の代わりだと思え』
「かみさまのかご?」
自分の声がショタ声過ぎて、ヤバい。自分で言う。この声可愛すぎる。
『名前はなんだ』
「あずみちづき」
『あずみちづき?呼びにくいな』
「ん〜。なら、なら、つきのムーンをもじって・・・ムーナ?ムー二?ムーニャ?ムーノ?」
『ムーナだな』
『いや、ムーニャだ』
『ムーノでしょ』
『ムー二』
『馬鹿なのか?ムーナが一番可愛らしさがある』
『いいや、ムーニャのほうがニャってついてるだろ』
『ムーノはスノウみたいで好きだよ、俺』
『ムー二が一番かっこいいよ』
いきなり、獣たちが喧嘩を始めた。ムーナ派は白狐さん。ムーニャ派は黒猫さん。ムーノ派は狼さん。ムーニ派が鳥さんだ。
獣たちの言い合いは止まらなくて、かれこれ十分は言い合ってる。
めんどくさくなった俺は一番いい提案を出した。
「ぼく、ちづきがいい」
『『『『わかったよ、ちづき』』』』
おお、動きも言葉もすべてシンクロしてる。むしろスゲー。って、無駄なとこで感動してちゃダメだな。
「ここ、かわある?」
『ああ、東の方に突っ走ったらあるな』
「つれてって」
『おお、いいぞ。我の背中に乗れ』
白狐さんが僕を放り投げて、自分の背中に乗せた。
死ぬかと思った。心臓バックバクだ。空中に投げられるのは、心臓に悪い。
『走るぞ。捕まっとけよ。落ちるぞ』
『ちづき、ちゃんと舌を噛んじゃわないようにしてね』
『狐、ちづきを落とすなよ』
『何、当たり前のこと言ってるんだ』
『俺は先に行く』
と、鳥さんは飛んでいってしまった。
僕も僕で、白狐さんの背中にギュッと掴まる。
ん?普通の狐でも相当速いのに、大型になったらどうなるんだ?え?ヤバくない?
『さあ、行くぞ』
白狐さんはぐっと身を低くした。
「ちょ、ちょ!まぢぇいああっぁあぁああぁあぁあああ!?!?」
白狐さんは勢いよく走り出した。