表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バルケインはただ幸せに鋼を叩きたい  作者: ロヂャーさん
幕間
43/138

とある女の愚痴

いやね、色々あったんだよ、ほんとに。

随分前になるけど、その時組んでたパーティときたら、優秀なんだけどろくでもないのばっかりで。


ドワーフ(おっちゃん)は酒に目がなくて装備にかける金も全部ヴィンテージの火酒に使っちまうし、そのくせ肴は何にも気にしねぇ、酒だけで何処でも飲み始めるもんだから始末に追えねぇ。


いや、まぁね。冒険が終わった時とか、酒の相手には1番いいんだけどさ、私とどっこいかそれ以上飲むし。

知って得するドワーフ知識とか面白いし、底抜けに明るいしね。


問題は何処でもってとこよ、ほんとの意味での何処でもなんだよ。

見張り中はもちろんのこと等級審査中だろうが戦闘中の合間とか、隠密中はやめろっつってんだけどね。

1番印象深いのはドラゴンの股下で酒を煽って爪でコケて卵回収の任務をおじゃんにしかけた事かな、流石に全員で()にしたわ。


力に関しては右に出るものなしってな感じで、いい前衛なんだけどね。

いい意味で金に汚くないし、男気もあって、まぁ、まぁまぁ、総じて良い奴なんだけどね。




ハーフリング(あのアホ)は特にクズ、私が今こうなったのは大体こいつのせい。

ハーフリングって小さいじゃん?それで、ほんと子供みたいな顔してんのよ。そうそう。


で、あいつのほんとに最悪なところがあってね、ガキのフリして触ってくんのよ。

最初は「もう、ほんとにだめだよー」とか、「カワイイねー」とか言っててさ、後からそいつ40代だぞって言われた時のショックが未だに抜けない。


ほんと、誰だってトラウマになるでしょ。


斥候って言うか、忍者的な技能収めててさ。

殴ろうとするとすばしっこく逃げて避けてで更にストレス溜まるんだよな。


真面目に神官やってたのが馬鹿らしくなっちゃって。

それで武道家の修行始めた訳よ。

いやぁ、あいつを最初にボールみたく蹴飛ばせた時の爽快感たるや。


それで、メインにしてる職業変わっちゃって、人生狂わされたなぁって名目で追加で結構シバいたけど。


ちょいちょい仲間想いみたいなところ見せてくるから完全に悪いやつじゃないんだけどねー、あれは多分死なないと治んないね。


神官だけやってたとき最低限の体力もなかったから、そういうきっかけを与えてくれたのかも、とか考えることもあったけど。

それは多分こじつけすぎだな、褒めすぎ。


というか、そのうち、うちの若い娘たちの前にも現れるかもしれないからちゃんと教えとかないとね。

うん、2人とも小さい子に甘そうだよね、素手でサンドラに行って痛い目見て欲しいってのもちょこっとだけ思うかな。




もう1人はパーティ唯一の良心、大正義、大本命の射手兼呪文使いのエルフちゃんが居てね。

大親友、あのアホを捕まえるときに魔法でアシストしてくれるし、服を縫い射るのも上手い。たまに刺さるけど。


ハイタッチに1番気持ちよく応じてくれるし。

うざい奴に呪い掛けてくれるし。

意外と腹黒な所がまた可愛いんだよねー。

多分、トゥルーテ以上に根に持つタイプかな。

人見下す時の目とかが最高にぞくぞくして可愛い。


最終的にどんな拷問をしたのか知らないけど、あのアホが手を出さなくなるんだから、本当に何かやったのかも。

ちょっとウンディーネに足を引っ張ってもらったとかも言ってた気がする。


ムカついた魔物を矢で磔にして火をつけたり、絶妙に殺さない毒矢でじりじり追い詰めたりとか

()にしたときの、武道の心得ないけど思い切りのいい振りかぶりで蹴る感じとか最高。

たまにちょっとえげつないことをするっていう茶目っ気が癖になるんだよ。




あとは最後、鍛冶キチ。

ほんと、何でもかんでも剣を打つのに繋げる思考回路、どうなってんだろ。

熱中すると蹴飛ばされながら作業を続ける図太さ。


人の話を聞かないし、冒険の約束しといて剣打ってたなんてのは両手じゃ数え切れないし、簀巻きにして馬車に詰めたのだって1度や2度じゃない。


まぁ、悪くないやつなんだよ、それはわかる。

冒険してて、戦ってて、何が足りないとか、ここで何かが必要とか、意外と周りが見えてるし。


多分うちらで1番オールラウンダーに近い。

前でも後ろでもいけるし、加え周りが見えるもんだから好きに加勢させるだけで骨太なパーティになる感があって心強い。


うーん、褒めすぎだな。

筋金入りの唐変木だし、人の気も知らないでとか何度思った事か分からんし、人の話を聞かない癖して自分の話は長い。


威勢が良くて物怖じしないってのは聞こえはいいけど、私と違ってTPOって奴を全くもって考えない。

多分、国王が目の前に現れても態度は変わらないだろう。むしろあいつは今の国王を知っているのだろうかって所から始めなきゃなんねぇ。


知りたいこと以外に疎すぎるんだ、興味も無さすぎる。


惚れてた時期も、まぁ、まぁ、無くもなかったかな。

うっせ、若かったんだよ。そういうことにしとけ。

ないないないない、あいつと余生とか考えただけで胃に穴が空くわ。


ほんとにほんと、うっせぇな、終わり終わり!

次聞いてきたらはっ倒すぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ