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バルケインはただ幸せに鋼を叩きたい  作者: ロヂャーさん
幕間
19/138

ちょっとした小話

イメージを忘れるなってお爺ちゃんによく言われたんですよ。

それはもう口酸っぱく。


お爺ちゃん、古今東西の流派の皆伝を総なめにして、自分で流派作っちゃった感じの人で。


技に詠唱みたいのついてて、一緒に覚えさせられるんですよ。

出が遅くなるので口には出さないですけど。


ダサいとか言っちゃ駄目ですよ。

一生懸命考えたそうなので。




曰く

人は感覚をすぐ忘れる。

剣を持つ感覚も、体の動かしかたも。


体は筋肉に気を使って動かすものじゃない。

意のままに流れ行くものだ。

自然に、当然のように。勝手に。


その感覚が大事だ。

それを忘れないように、この流派の技は空に海に、自然の流れ行く様を表している。


そのイメージを目指して練習しなさい。

行き詰まったら、天に地、そのありかたを見なさい。




カッコいいですよね。


技は3つの形に分類されまして。


風や水の流れなど、目の前にある自然を型どった風水形


嵐や雨風、自然の猛威を表した風雲形

スコールがこれに該当します。他にも連擊系が多いですね。


そして

決して覆せない自然の(ことわり)を表した必勝確殺の天理形


天理形の例をあげるなら


振り下ろしであるサンセット

横薙ぎのホライゾン

正面突きのポラリス


特徴をあげるなら、形だけなら見よう見まねで誰でも出来ること。

それを必殺のその先の域まで極めて初めて技としてみなすところ。




曰く

どんな理由があっても天理形が破られたなら。


今のあなたは絶対に相手に及ばない。


蚊に放ち、蚊に当たらなかったなら、蚊に対する敗北を認めよ。




これは、この天理形に頼らない為の教えです。


みだりに振り回さず。

ここぞというときに放つ。


絶対に殺す時にのみ出すから必殺であり

奥義たる所以でもあるそうです。


ちなみに、天理形は習得と認められたと同時に対人練習での使用を禁止されます。


何故なら、木の枝だろうと藁束だろうと、天理形の完成形は人を殺すからです。


例え、道具が壊れて相手が生き残ったとしても、天理形の必殺の意を成さぬ以上、敗北なのです。


これは、お爺ちゃんが学んだ流派の1つを参考にしています。

その流派の場合、殺せなければ切腹でしたので、まぁマシなのでしょう。




ちょっとした小話ですが

この前お見せしたスコールを練習するときの修得要項があって。


それは投げ込まれた的が落ちる前に8連擊全てを当てること。

これを続けざまに8回連続で出来れば修得なんですが。


でも、これにはちょっとした裏技があって。


切る時にほんの少し角度を付けると、的がほんの少し持ち上がって、時間を稼ぎ続ける事が出来るんですよ。


私が幼い頃修得に苦心している時に兄弟子さんの一人におそわって。


私はこれを応用して、1つの的が落ちる前に8×8で64連擊全部叩き込むっていうのをお爺ちゃんに見せたんです。


すごいでしょって。


太刀筋が曲がっているとげんこつをもらいました。


ひどくないですか?

兄弟子さんは、それで修得貰ったって言ってたのに。


もう怒りましてね、剣の角度を変えなくても2回出来るようにしたんですよ。


その辺りから天才だとか呼ばれるようになったのですが、未だにあのときのお爺ちゃんは赦せません。


ちなみに、下段薙ぎの時にだけ剣速をゆるめて落下速度を少し遅くするのはアリで。


今はそれを使って64連擊ちゃんと放てますよ。


な、なんですか、その目は。

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