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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

不老不死の元聖女は呪いの次期公爵様の幸せを願います

作者: タンポポさん

短編六作目の投稿です。

楽しんで見て行ってくれると嬉しいです。




その手を取るまで、私はどんなに絶望的で残酷な現実を昨日の事の様に思い出した事か。

それは、夢ではなく現実。

逃げ様の無いその現実からは逃げられなかった。



その出来事は数百年前に遡る。

私がまだ、この様な状態になるまでの事だ。

その時の私の名前はソフィア・グランデッド侯爵令嬢で王族である第一王子のクリストファー・シンドリユと婚約関係にあった。

私は十歳の時、この国を見守る役目である聖女がいて、その聖女の力に目覚めたのが、十歳だった。それが王族のクリストファーとの婚約の理由だった。

そして私は聖女教育と同時に妃教育も始まった。

当初は妃教育に襲われながら、聖女の力の制御に追われていたが、日が経つ内に慣れてきていた。

そこまで、何事もない、ただ平凡で幸せな日々だった。

婚約者だって優しいし、聖女の力をつけられれば当然嬉しい。


そう、彼女に出会うまでは。

私は貴族の学園に通い、特待生として入学してきた、ある平民の、ナタリー・エイモスと言う、ふわふわの金髪の女の子と出会い、運命が大きく狂った。


ある日、私は婚約者から婚約破棄を受けたのだ。

当然、私は理由を問う。


『お前は俺の婚約者の肩書きでナタリーに犯罪紛いの嫌がらせをしていた!!そして、お前の様な偽聖女が本物の聖女に嫌がらせをしていた!!』正直言って愚かだった。

私の聖女の力は国からも承認されているし、聖女の力を国の前で見せたこともあった。

それに、婚約者がこんなにも愚かだとは思わず、幸せに感じていた私を叩いてやりたいと思った。


だが、この婚約は破棄されたのだ。理由は私が偽聖女と言うのが証明されたから。

私は息が止まりそうな程に………。

だが、それだけだったらまだ良かったのかもしれない。


ある日、私とクリストファーとの婚約破棄の原因であるナタリーから手紙が来た。

その手紙にはここに来いと言う場所を書いた手紙で、私はその場所に来ると、そこには婚約者であるクリストファーが待っていた。


待っていた先で起こったのは辛い現実だった。

私に不老不死の魔法を掛けられた。

そしてその後は王族であるクリストファーとの婚約が破棄された理由で家を追い出され、そのまま奴隷へと成り下がった。


その後は辛い現実と残酷で絶望的な生活だけだった。

悲しみも苦しみも足掻いている暇も無い、ただ苦痛な生活。

楽しみも喜びも無い時の牢獄。

そして不老不死の私にはずっと続き逃げるも救い様も無い現実。

その日々が続いて、約数百年。



私には買い手がついたのだ。

こんな不老不死で偽聖女の汚名を記せられた私を買ってくれる碑とがいるなんて………。

そう思っていた。


ついに私を買ってくれた人と出会った。

その人は牢の中でもよく耳にした名前。


アラン・ブレイ・アンドリュー。アンドリュー公爵家の次期公爵。


そして、呪いの次期公爵として恐れられる公爵家の令息だった。

何故、呪いの次期公爵と呼ばれたのには、“死ね”と、相手に言う、思うだけで、人を殺せる、呪いを持つせいだった。


私は怖い、恐ろしい。

そんな感情は一切浮かば無かった。


ついて行った先はある大きなお屋敷。私はその家のメイドを務める事になったのだ。



「俺はアラン・ブレイ・アンドリュー。一応此処、公爵家の次期公爵だ。それとあまり俺には近付くなよ」そっけないが、挨拶をしてくれる。



「アラン様、これから、よろしくお願い致します」





私の与えられた部屋はとても広く、メイドに与えられるような部屋ではなかった。


「アラン様。この様な広い部屋はとてもではありませんが私の様な奴隷には不必要です」


「ダメだ。奴隷でもだ」

「ですが…!」

「ダメだ」

「私の様な奴隷には…!」

「使え」そう、強く言われて私は仕方がなく、了承した。


私はここまでのアラン様はとても静かでほとんど無表情。

冷静沈着と言っていいだろうか?

何と言うか、黒髪に瞳がとてもよく似合い、整った顔立ちに私は最初、少し魅入ってしまった。

それにぶっきらぼうだけど見えない所で優しい人の様なイメージだった。何故こんな人が、何故呪いの次期公爵と呼ばれなければ行けないのだ!と、そんな噂を使った人に文句を言ってやりたい。


牢の中では冷酷で冷血と聞いていたが、そんな人物では無かった。

次からは噂なんて聞かないようにしよう。それに、私の様なもう何百年も前の話だけど、今の今まで伝わり、軽視された私を買ってくれたこの人にはもう、私は心を開いていたのかも知れない。



★★★★★







私はこの人には呪いの次期公爵などと言う汚名を無くなって、幸せになって欲しいと思った。


もう全てを失った私だけど、この人には幸せになって欲しかった。


偽聖女の汚名を記せられた不老不死の私の、細やかな願いだった。




最後まで見て頂いてありがとうございました。

噂と言えば、間違いの噂の出来かたの一つ、知っていますか?本当かは、分かりませんが、例えば伝言ゲーム。とか。


伝えたつもりなのに、相手には違うことが伝わってしまう事、ありませんか?なんて。

例えばゴムをガムと聞き間違えたり、言葉が足りなくて相手に誤解を伝えてしまう事。見たいです。


伝言ゲームやそれと同じで、最初に噂を言った人が伝えられた人には少し、違うことが伝わり、その間違った噂がまた、少しずつ変わっていき、結果的に全く違う噂が完成すると言うものらしい。

多分。

まあ、所詮は噂。

噂を真っ先に信じるよりも本人に本当か確かめた方がいいと言うことですね。

かくいう私も、噂は信じないタイプです。

それは人それぞれと言うことで。

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