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クエストと能力の検証

お話を何とか頭からひねり出しました。

「何で……?何で……?」

「ハハハ!まぁ、気にすんな!命を張る事だけが冒険者の仕事じゃねェからな!」


ちょっぴり涙目になっているクレイをべザーが豪快に笑い飛ばす。

彼なりの慰め方なのだろう。


「ではこれが識別証です、9等級……つまり一番下のランクになります、実績に応じてランクが上がっていきますが……無理はしないでくださいね?」

「はい……」

「本当に気を付けてくださいね、最近()()()()()()が罠に掛かって亡くなってますから」

「あ~……ワカリマシタ、キヲツケマス」


確実に「クルト」の事だ。

『紅の爪』がそういう事にして報告したのだろう。

確かにそんな事をわざとらしく言っていたのを思い出した。


識別証をしまい、個室から出る。

とにかく、今は日々を過ごすお金が欲しい。

早速クエストを受けたいところだ。


クエストの要項が書かれた紙が貼られているボードの前で受諾できそうなクエストを探す。

討伐系のクエストは……最弱判定を貰ったので受けられないだろう。

となると採取系になるが……。


『リジロソウの採取』、何故か普段より1.5倍ほど報酬が高い。

リジロソウは葉の裏が白い事が特徴のポーションの材料にもなる薬草の一種だ。

生育する環境は限られているが、その環境が整えば雑草の如くしぶとく生えてくる。

問題はその環境が人の手では再現できず、野生のものを調達するしかないのが現状だ。


ボードから紙を剥がし、先ほどの受付へ行く。


「このクエストを受けたいのですが」

「このクエストですか……」

「やはり、何か問題があるんですか?」

「ちょっと前に需要が高まってね、その結果この辺りのリジロソウを取りつくしちゃって、いくらリジロソウでももう一度生えてくるのに時間がかかるから、今は品不足なの」


なら丁度良い、アテがある。


「分かりました、受けます」

「空振りになっても知りませんからね?それと変な所に行かないで下さいね、特に貴女は先ほどの結果がその……分かるでしょう?」

「危険な所へ行かない、ですね、任せてください」

「本当に大丈夫かな……気を付けてくださいね」


※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※


「やっぱりあった」


メルボアを出て近くの森の中を進む途中にリジロソウの群生地があった。

クレイがまだクルトだった頃に案内役として周囲の情報を得ようと散策している時に偶然見つけたものだ。

新米冒険者が仮にこの場所を知っていたとしても、外の世界に歩き慣れていない状態ではキツいだろう。

かといって迷わず来れるほど経験を積んだ頃にはリジロソウ採取はもう卒業している。

元々リジロソウ採取の報酬は低いのだが、1.5倍レートとこれだけの量があればしばらくの間衣食住には困らないはずだ。


だが、ここへ来た理由は他にもある。

ここなら誰かに見られる事もないだろう。


右手から剣を呼び出す。

この剣がどういうものなのか検証する必要がある。


※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※


いくらか試した結果、判ったことがいくつかある。


まず、武器は必ず手のひらから現れる。

右手でも左手でも構わないが、それ以外の場所から出す事は出来ない。

次に、一度出した剣は手から放しても消える事は無く、ある程度離れていても勝手に消える事は無い、限界を知りたいが回収できなくなったら困るのでそこまでは分からなかった。

そして剣の場所は「分かる」、感じると言った方が良いだろうか。

任意で剣を消すこともできる、これは手から離れていても可能だ。


この辺りだろうか。

これはまだ試せないが、()()()()()()()、そう感じる。

おそらく神剣側の記憶だろう。

曖昧な記憶で詳細は分からないが、今後剣以外のものが呼び出せるようになるという事かもしれない。


「さて、十分なリジロソウも採ったし、帰るかな」


メルボアのギルドで予想以上のリジロソウに驚かれたクレイは、受付嬢に入手先を聞かれ、にこやかに一言『秘密です』と答えた。

次は『紅い爪』の連中のお話の予定です。

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