アレイヤ対ノーセン①
短めですが、話を区切るために投稿します。
私は剣を抜き、ノーセンへと向ける。
「リビア、アンタは下がってなさい、アイツは私がやるわ」
「でも、クレイちゃんが……!」
「今ノーセンを逃がすわけには行かないでしょ」
「は、はい!分かりました……」
そのやり取りの間ノーセンは攻める事も逃げる事無く口角を上げながら見ていた。
「もういいか?」
「随分な自信じゃない、吠え面かいても知らないわよ!」
剣を抜いたまま、その場から動かないノーセンへと駆けていく。
ノーセンが動いた。
初動を見るからに、左下から右上への斬撃。
その僅かな初動だけでも分かる。
目をそらさないのは大した度胸だが、私にとってノーセンは敵ではない。
戦い、それを糧にしてより高みを目指す。
私が強者を求める理由だ。
ノーセンは駄目だ、糧にもならない。
――だがこの戦い、勝ってはならない。
私が強者を求めるのは、その強者に敗北し、忠誠を誓う為だ。
――だから私はノーセンに勝ってはならない。
彼の手によって無様に敗北し、プライドを粉々に砕かれ、身も心も捧げなくてはならない。
彼の所有物になる事が私の人生の目標なのだ。
私は彼の斬撃の軌道を塞ぐように、剣を重ねる。
剣がぶつかる瞬間、腕の力を抜く。
私の剣は彼の斬撃によって持ち上げられ、私の手から離れた。
続いて彼の蹴りが迫る。
斬撃後の無理やりな蹴り、避けるのは容易い。
私は避ける素振りを見せながら、最も『効く』場所に当たるよう調整する。
彼の足が腹に刺さり、より威力が増す様に踏ん張りながら腹の力を抜く。
足がさらに食い込む。
「あぐッ……」
痛みでその場に崩れ落ちる。
背後でカランと剣の落ちる音がした。
「どうした?その程度か?まだやるか?」
まただ、まだ私には折れる余地がある。
「当然……でしょ……!」
私は痛みを堪えながら立ち上がり、剣を拾う。
「そうか、ならハンデをやろう」
そう言って彼は剣を手放した。
剣を持つ私に素手で相手をしよう、と言うことらしい。
「舐めんじゃ……ないわよ!」
なるべく威勢を張りながら走り、剣を振り上げた。
彼の左手が上へと動く。
私はそれに合わせて1歩多めに踏み込み、右腕が彼の左手に向かうように剣を振る。
彼は私の右腕を掴み、捻った。
少し抵抗しつつ、捻りに合わせて身体を動かす。
景色がぐるりと回転し、背中から地面に落ちた。
私の横で再びカランと剣の落ちる音がした。
「天下のアレイヤ様はその程度か?ククク……」
「……ッ、まだよ!」
私は彼の手を振り払い、剣を拾いながら距離を取った。
まだだ、まだ追い込まなければ。
「そう言われてもな……そろそろここから移動しようと考えていたところでな。長々と戦うつもりはないんだがな。ふーむ、そうだな、そんなに戦って欲しければ……」
「……何よ」
「俺が指定したものを脱いで貰おうか。脱いだら戦ってやろう。まずはその小手からだ。そうしたらもう一戦だ」
実はこの後のアレイヤをどこまでやらせようか悩んでいます。




