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詐欺師の噂

まだスケベはありません。

アレイヤと共に首都にある冒険者ギルドへとやってきた。

流石首都というだけあってメルボアのギルドよりもずっと規模が大きい上に、食事処、各種道具屋、武器鍛冶屋、宿屋等の様々なお店が同じ建物の中にあり、かなり大きい建物だ。

活動拠点がメルボアのクレイにとって、この大きさは知ってはいても毎回驚かされる。


「アレイヤだ……!」

「こっちに来ていたのか!」

「隣の娘は誰?メイド?」

「かわいい娘ね〜」


屋内に入れば周囲が騒ぐ。

アレイヤがメルボアの冒険者ギルドに来た時の事を思い出す。


(この人が居るといつも周囲が騒ぐよなぁ)


クレイ自身もその騒ぎの的になっているのだが、気付いてはいない。


「さて、何かいいかしらね。ドラゴン討伐とかないかしら?1度やり合って見たいのよね」

「ドラゴン討伐なんてその辺にいる訳ないじゃないですか……居ても大遠征です、日が足りませんよ……」


クレイとしては薬草など探してパパッと終わらせても良いのだが、アレイヤとしては大物狙いの様だ。

そうなれば多くの場合は長距離移動になる、それで帰りの予定が狂ってしまっては困る。


「アレイヤさん!アレイヤさんですよね!?」


依頼書の前で依頼を選んでいると、女性が駆け寄ってきた。

黒髪を首の辺りまで伸ばし、アレイヤと同い年かひと回り若い印象を受ける女性だ。

防具は篭手、すね当て、胸当ての3つ。

動き易さを重視して……というよりは懐事情を感じさせる。

まだまだ新米の冒険者といったトコロだろうか。


「私、3年前に貴女に村を救ってもらったリビナです!あの時のアレイヤさんが忘れられなくて、冒険者になっちゃいました!……覚えていますか?」


どうやらアレイヤに憧れて冒険者になったクチの様だ。


「え?あ〜……」

「アレイヤさんが村を訪問中に盗賊がやってきて、村長のカツラごと斬ったアレです!」

「あぁ、村長のカツラなら覚えているわ」


知らない村長(ひと)だけど、カツラだったんだな。

……何故、村長のカツラが?


「アレイヤさん、本日はどうされたんですか?隣の娘はどちら様ですか?」

「メルボアに帰る予定なんだけど、ちょっと余裕があってね。何か面白いモノ(強敵)に出会える依頼はないかな?ってね。隣の娘は冒険者のクレイ、この見た目で結構『やる』のよ?」

「えぇ!?この歳でですか!?最近の子供は進んでるんですね……」


その言い方はどうかと……もしかして何か勘違いをされているのではなかろうか。

実際小声で「アレイヤさんにそんなご趣味が……」とか言ってるし。


「それで、依頼は決まったのですか?」

「それがパッとしたのがないのよね……」

「近場でそれなりの成果が挙げられる依頼はとっくに取られちゃってますからね……あ、そうだ!これなんかどうでしょう」


そういってリビナは1枚の紙を取り出した。

手配書だ。

中央には男の似顔絵が描かれている。


『詐欺師「ノーセン」この者を捕らえた者に報奨金を与える』


「へぇ……手配書ね……って詐欺師じゃない!それにどこにいるか分からないとどーにもならないわよ」

「それがですね、実は4日前に偶然聞いちゃったんです。手配書を見た依頼を終えた2等級の冒険者のペアが"帰り道の双子岩の近くでコイツ見た"とか"それなら近いぞ"って言って、その後すぐに捕獲に向かったんです」

「それじゃあもう捕まってるんじゃないの?」


ただの詐欺師が2等級冒険者相手にどうこうできるとは思えない。

アレイヤの疑問はもっともだ。


「その後冒険者達……まだ帰ってないんです」

「つまり、そのノーセンってヤツが2等級冒険者2人を返り討ちにするくらい強いか、そうでなくとも帰れなくなった『何か』が居るってワケね……」

「どうですか?」

「そうね、興味が湧いてきたわ」

「あ、あの!私も同行して良いですか?アレイヤさんの戦いを間近で見たくて!」

「どう?クレイちゃん。私は良いけど」

「ボクも構いませんよ」


先日のアレイヤの戦いを見る限り、1人新米が居ても問題は無いだろう。

自分も居るし。


「じゃ、決まりね……で、双子岩ってどこよ」

「えっ?」

「えっ?」


アレイヤとリビナが「え?知らないの?」といった表情で互いを見合ったまま固まっている。

え?何この空気。


「てっきりアレイヤさんなら知っているかと……」

「知らないわよ?私」


アレイヤがキッパリと言い切ってチラリとクレイに視線を送る。

リビナがその視線を追い、覗き込むようにクレイを見た。

ちなみにアレイヤがどれくらい「大きい」のかと言えば。

首から下は某ソシャゲのエイミみたいな体格なと思っています。

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