レミリーナの依頼
ちょっと長めになりそうだったので前の話と2分割です。
「お、王女様……!」
身分の高い人だとは思っていたが、まさか王女様だとは。
「畏まらなくて大丈夫です、私は15人居る子供たちの一番下、15人目の子ですから」
「15人」
「父には6人の伴侶が居ますから……」
「そんなに……」
王族というのは凄いな。
「本日お越し頂いたのは、先日の実力を見込んで護衛を頼みたいのです」
「王女様の……護衛……」
いきなりの大役を依頼されてしまった。
「護衛と言うと、まさか他の兄弟から守るとか……」
「他の兄弟との関係は良好です、少なくとも他の兄や姉から排除されるようなことはありません。既に一番上の兄様が次期の王としてほぼ決定しており、私の継承権などあってないような物……」
「でも周囲の人間たちはそうでは無いのよ」
「はい……」
「自分が推す人物を王にする為に殺しだって厭わない連中、"自分はあの人に貢献した"と思いたい連中にとって、立場の弱くて現状そこまで重要視されていないリーナはいい標的ってワケ」
アレイヤはうんざりそうな顔で「どこにでも居るのよ過激な連中って」と呟いた。
「私も今年で15となり、見聞を広める一環として学校へ2か月間短期ではありますが、魔法や武術が学べるルガルトルガ学校に通う事となりました。ルガルトルガ学校なら貴族などが多く通う事もあって警備もあります。何より校内での世話役や護衛役として一人、建前上は同じ生徒という形で入学させる事ができるのです」
「それを利用して入学基準に満たない兄弟親族を護衛として無理やり学校に入れる人もいるらしいわよ」
「本来はアレイヤさんにお願いする予定だったのですが……」
「ほら、私はコレだから」
そう言ってアレイヤは吊るされた右腕を小さく掲げた。
自由に動かせるようにあるにはもう少しかかるそうだ。
「城の近衛で剣に覚えのある娘を持つ方居らしたので、その子に頼む事になったのです。せめて時間の許す限りアレイヤさんから剣の指導をとメルボアへ立ち寄ろうと……」
「ほら、ネラって子、キミが助けたあの子よ」
「あぁ……」
「可能な限りの治療はしましたが、あの怪我では護衛は出来ません。アレイヤさんにネラさんの治療をお願いした際に助けて頂いた方の話をしたら、お知り合いとの事でしたのでこの様にお呼びしてもらったのです」
リーナの白い手がクレイの手を握る。
「クレイさん、在学中の2か月間、私を守って頂けますか?」
リーナの握る手が強くなる。
ところで何故指を絡ませようとしてくるのですか?
妙にネットリとした絡ませ方なんですけど、ソレ必要なんですかね?
何だかゾクっとした。
「どうかしたの?」
「蛇に巻き付かれて首を噛まれた鼠の気分というか……」
「もう頼れるのはクレイさんしか居ないのです!お願いできますか?」
流石にここで断って彼女に何かあったら夢見が悪い。
この絡まっている指が不穏なのだが。
「わ、分かりました、その依頼お受けします」
前回投稿から間が空いてしまい申し訳ありません。
この先も書く時間が取れずに間が空く事が間々ある事をお許しください。




