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神剣は気ままに暮らしたい(仮称)  作者: 一二三 四五六
間の話・高級奴隷のクレイ編
32/72

ゴイスのその後

これにて1.5部は終了です。

ゴイスの屋敷の外には騎士団の人々が駆け付けていた。

遠くから様子を伺っていたのだが、轟音を聞きつけて屋敷前までやってきたらしい。


その騎士達の中にアレイヤの姿があった。


「クレイちゃーん、大胆な格好で派手にやったわね」

「この格好はボクが選んだ訳じゃないです、屋敷の方は……うっかり?」

「うっかりって……うっかりで出せる惨状じゃないわよ、コレ」


ゴイスの屋敷の右側1/3程が吹き飛んでしまっている。

後で聞いた話だが、吹き飛んだ時に屋敷に居た人には奇跡的に被害は無かったらしい。


「アレイヤさんは何故ここに?」

「受付嬢の……ニナだっけ?その人からクレイちゃんの依頼の事を聞き出したのよ。また妙な依頼を受けたわね」

「大変でしたよ……すみません、何だか心配をかけたみたいで……」

「いいのよ、ここに来たのはクレイちゃんだけが目的じゃないから」

「?」


クレイから隷属の首輪を渡された騎士団が屋敷へと入っていき、程なくゴイスを連れて戻ってきた。


「久しぶりね、ゴイス?」

「ああああアレイヤ……!なななな何で!?」


アレイヤを見たゴイスが酷く怯え始めた。


「ちょっと小耳に挟んだのよ。()()()()()()()()()()()様だけど、オンナの趣味は変わったようね?」

「許して……許して下さい……!」


ゴイスが恐怖のあまり腰を抜かしてしまった。


「ワタシまだ何も言ってないけど?でも、そうね、また何かしてるなら……」


アレイヤが前屈みになり、ゴイスへずいっと顔を近づける。

今のアレイヤは帯剣こそしていたものの鎧を付けておらず、上体を曲げた勢いで大きな胸がゆっさりと揺れた。

が、ゴイスにその光景を愉しむ精神的余裕は無い。


「ひ、ヒィィッ!」

「ひねるわよ?今度は全身くまなく」

「ああ……あァァァァ……」


悲鳴のような(うめ)きのような声をあげて、ゴイスは気を失ってしまった。

以前2人に何があったのかは分からないが、ゴイスはアレイヤに相当酷い目に遭わされたようだ。


騎士達がゴイスの周りに集まり「お、重い……」などと言いながら馬車へと運んでいく。

わざわざ馬車で移送するとは、罪を侵したとしても貴族という事か。


「ゴイスはこの後はどうなるんですかね?」

「ん〜、多分非正規の隷属の首輪を何処の誰から買ったのか包み隠さず話す事を条件に釈放されるんじゃないかしらね?」

「それだけなんですか?」

「そんなものよ、貴族って」

「……」

「まぁ、ゴイスの場合は……その後ね」

「後?」

「ところで、この依頼で何もなかった?ゴイスに何かされなかった?」

「えぇと……」


クレイは周囲を確認したあと、アレイヤにそっと耳打ちをした。


「☓☓を揉まれて、☓☓☓をイジられて、☓☓☓を触られそうになって、☓☓☓☓を押し付けられました……」

「よし殺すわ」


後のクレイは語る。

ゴイスの屋敷に潜入するよりも、騎士団の人達と一緒にアレイヤを引き止める方が大変だった、と。


※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※


あの一件の後、ゴイスがどうなったのか。

アレイヤが聞かせてくれた。


アレイヤの言う通り、ゴイスは自分に隷属の首輪を売った者の情報と引き換えに釈放され、エライ家へ戻る事となった。


が、それに待ったをかける者がいた。

エライ家当主、ゴイスの父、モノゴッツ=エライである。

変態的な女癖に目を瞑り、非正規の隷属の首輪の使用に関して「単なる噂」という息子の言葉を信じていたモノゴッツは怒り心頭、勘当こそしなかったものの、エライ家としての権限を取り上げた。


集めた高級奴隷の少女達はゴイスの妹であるヤタラ=エライが引き取り、奴隷ではなくメイドとして雇う事となったそうだ。

ヤタラは「屋敷が華やかになった」と喜んでいるとの事だ。


メルボアの隅の小さな家に押し込まれ、使用人という名の監視役達(男性)の元軟禁状態にあるらしい。


そんな生活の中、純粋無垢な美少年と出会い、交流の中でゴイスの性癖が再び変わってしまうのは、また別の話である。


※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※


「クレイちゃん、ちょっと引き受けて貰いたい依頼があるんですが……」

「帰ります」

「あ〜〜〜ッ!まだ!まだ何も言ってません!話だけでも!話だけでも〜〜〜〜ッ!」

どこかでまたぶっちゃけ話を挟みたいな、と考えております。

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