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脱出とミノタウロス

私用で投稿遅れました。

「うぅ……」


色々な事が起き過ぎて、もう何が何だか分からない。


だが、ここで頭を抱えていても始まらない事は、クルトにも分かっている。

今まで培ってきた冒険者としての考え、というやつだろうか。


クルトは散乱した荷物を確認する。


ポーション等の消耗品は、無い。

割られた物以外、元々は彼らの物だったのだから、無くなっていて当然だろう。

お金や換金できそうな物も無い。

しかし、隠しポケットのお金は残っていた。

元々は盗みや強盗等の対策の為だった、まさか相手が『紅の爪』だったのは予想外だったが。

これにはクルトの私物も混ざっていたが、流石に残ってはいなかった。

商売道具である地図は……あった。

恐らく、様々な情報等をごちゃごちゃと書き込んでいったせいでクルトにしか読めない物になってしまい「使えない」と判断されたのだろう。

その代わり、予備のほとんど書き込まれていない地図が無くなっていた。


小柄になったせいで、今まで着ていた服はサイズが合わない上に、血まみれだった為、とても着れるものではなかった。

おかげで「残されていたフード付きのコートを裸の上から羽織る」というなかなかアブない格好になったのだが、ダンジョンの最奥から脱出という事を最優先としたクルトが気にすることは無かった。


胸を貫いた剣が見当たらない事が不思議だった。

『紅の爪』が持っていったとも考え辛い。

それにあの時の光景。

あれが夢ではなかったとすると、一体何だったのだろうか?


疑問は尽きないが、クルトはダンジョンの外へと歩みを進めると事にした。


―※―※―※―※―※―※―※―


姿勢を低く、物陰に隠れ、周囲に気を配りながら慎重にダンジョンを進む。

『紅い爪』が踏破した後だ、大抵のモンスターは倒されているだろうが、万が一出くわしたらひとたまりもない。


最下層中盤を過ぎた辺りだろうか、一本道の先に大きな影が見えた。


――ミノタウロスだ。


「よりによってミノタウロスか……」


ダンジョンを出る為に、この一本道は絶対に通らなければならない。


「やるしか……ないのか」


手持ちの武器は安物のナイフ一本のみ。

これでミノタウロスを相手にするのは流石に無理がある。


何とか隙を突き、脚を狙う。

そうすれば多少は動きが鈍くなる筈だ。

そして全力で走って振り切る。


ミノタウロスがナイフ一撃程度で足が劇的に遅くなるとは思えないし、かなり足が速い。

上手く逃げ切れるか微妙だが、やるしかない。


「よし、やるぞ!」


覚悟を決め、ミノタウロスへと勢いよく走り出す。


小柄になったせいだろうか、体が軽い。

これならミノタウロスに一撃を見舞う事も、逃げる可能性も上がるかもしれない。


「ブモォァッ!」

「…ッ!」


ミノタウロスの右拳を身を屈めて(かわ)す。


((とら)えた!)


更に距離を詰め、突き出したナイフがミノタウロスの左脚へと食い込んでいく。


――パキンッ!


ナイフが、折れた。


「えっ?」


想定していなかった出来事に驚き、一瞬身体が硬直する。

その隙をミノタウロスは逃さなかった。

追撃の右拳がクルトの上半身に当たり、壁へ叩きつけられる。


「う……ぐっ……」

「グォァッ!」

「ゴフッ」


更なる追撃の右足。

体がボールの様に地面を跳ね、転がり、跳んでいった。


「うぅ……痛てて……あれ?」


痛い。

が、怪我一つ無く、痛いで済んでいる。

普通ならそこらじゅうの骨が粉々に砕けて死んでいても不思議ではない。


「何だかよく分からないけど、この身体、頑丈なんだな……」


しかし、武器無しでは勝ち目が無い。

唯一の武器だったナイフは折れ、ミノタウロスの足元に転がっている。

武器、武器があれば……!


――()()()()()()()()()


「なぜ今までその事を忘れていたのか」そう感じる、不思議な感覚だ。


右手を見ると、手のひらから光の玉のようなものが現れていた。

それは徐々に伸びていき、光の中から剣が現れた。


()()()()()()


この剣なら、いける。

何故と問われたら答えられない、だが確信があった。


再びミノタウロスに向けて駆ける。

ミノタウロスは両の拳を掲げ、クルトを叩き潰そうと振り下ろした。

しかし、既に懐に踏み込んだクルトのほうが早かった。


「どっせい!」


横一閃。

そのひと振りでミノタウロスの上半身と下半身が分かれ、それぞれが「ドシン」と音を立てて地面に倒れ込んだ。


「……い、意外と簡単に勝てたな……」


クルトは剣とミノタウロスの死骸を交互に見ながら、呟いた。

頭の中で思い浮かべた事を文書にするって、大変ですね。

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