クレイ対『紅の爪』②
何故かどういった内容にするか凄い悩みました。
「当たらねぇ!」
「この娘本当に9等級なの!?」
バルガスとラルミアの剣が躱され、ナイフで弾かれる。
ルタールの矢もリリタの魔法も空を穿つばかりだ。
クレイにとって彼等の攻撃は触手モンスターに比べれば何という事は無い。
しかしどうしたものか。
彼らに対して恨み辛みがあるのは確かだが、流石に道端に4人の死体を並べるのは流石にまずいだろう。
(仕方ない……)
ルタールには頭に小石を投げ、リリタとルルミアのみぞおちに拳を叩きこんだ。
バルガスには……股間に蹴りを入れた。
コイツには股間へ一発入れておいた方が良い、そんな気がした。
「ホッ…オガッ……な、何で俺だけ……」
バルガスは悶絶しながら崩れ落ちる。
痛みは非常に、非常に分かるが……ここは因果応報ということで考えない事にした。
「これ以上ボクに構わないで!」
『紅の爪』の面々が立ち上がる様子は無い。
もういい、関わりたくない、帰ろう。
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「フッ……グッ……畜生……」
クレイが見えなくなってしばらくした後。
バルガスは何とか木にもたれ掛かりながらなんとか立ち上がった。
あれが最弱判定を受けた9等級?何かの間違いだ。
2等級の俺達が手も足も出なかった。
しかしまずい、クレイに隷属の首輪を付ける事は造作もないと考えていた為、取り逃がした時の事を考えていなかった。
もしギルドにこの事を報告されたら……。
「クソッ……!」
「首輪さえ付けられたらどうにでもなったのに……ってトコかしら」
「なっ……誰だ!アガッ!」
後ろから声に振り向くと同時に、声の主に殴り飛ばされた。
「あ、アレイヤ……!」
またこの女だ。
ヤバイ、見つかってはいけないヤツに見つかってしまった。
「その首輪、一体何かしら?教えてくれないかな~?」
「こ、これは……」
バルガスが答えに詰まっていると、街の方から兵士が数人走ってきた。
「アレイヤ様!遅れました!」
「ホントに遅い!もうちょっと気張って走りなさい!」
「申し訳ありません!(そんな無茶な……)」
まずいまずいまずい!
どうすればいい!?どうすれば……!
捕まりたくない、俺は1等級の冒険者になって……!
せめてアレイヤさえ、アレイヤさえどうにか……!
追い詰められたバルガスは突飛な行動に出た。
「うおおおおッ!」
隷属の首輪を握りしめ、アレイヤに跳びかかる。
どうにかしてこの首輪をアレイヤに付け、この場をどうにか切り抜けようとした。
「阿呆ね」
一閃。
隷属の首輪を握りしめたバルガスの右腕が切り落とされた。
「ギャアアアッ!アグッ……ウグッ……」
アレイヤは地面に転がった右腕から首輪を奪い、兵士に投げ渡す。
「どう?」
「……間違いなく非正規の隷属の首輪です!」
「そう、使えないように契約の刻印を証拠になる程度に破壊しておいて」
「はい!」
兵士が隷属の首輪の刻印をナイフで削る。
終わった。
こんなところで終わりたくない!
こうなってしまえばギルドから追放され、牢屋で過ごすことになる。
アレイアが現れなければ!
クレイが大人しく首輪を付ければ!
全て上手くいったハズだ!
そうなるくらいなら、首輪と一緒に闇商人からコレで……!
バルガスはポーチから2~3センチほどの赤い球を取り出し、口の中に入れた。
食べ物には到底思えない材質と大きさの玉を、飲み込んだ。
「バルガスさん!今の玉は!?」
「ソレ何よ!?」
「バルガス!お前何を!?」
アレイヤにも赤い玉の正体が分からない。
他の『紅の爪』面々が知らない赤い玉、なんだかヤバイ気がする。
「バルガスだったわね!アンタ今飲み込んだ玉は一体何なの!?」
「ゲホッゲホッ……」
「答えなさい!」
「……」
「答えろッ!」
「……あぁ、いいだろう!望むぜ!」
「何を言って……望むって何を!?アンタ誰と話しているの!?」
バルガスが何かに同意した途端、他の『紅の爪』の面々が苦しみだした。
身体から靄の様なものが吹き出し、干からびていく。
靄はバルガスへ集まり、バルガスがそれ吸い込む。
肌が赤黒く変色し、斬られた右腕がボコボコと生え変わった。
「生贄ってヤツかしら……コレ、ヤバいわね……!」
「アァ、思ッテイタヨリイイ気分ダ」
バルガスが立ち上がる、明らかに体が一回り大きくなっている。
「くれい……!後悔サセテヤル!犯シテヤル!跪カセテヤル!ダガ、ソノ前ニ……」
「これは流石にワクワクしてられないわね」
アレイヤが構える。
バルガスから不気味な圧をピリピリと感じている。
「あれいや、マズオ前ダ」
この先の展開も悩んでおります。
主にスケベにするかしないかで。
 




