クレイとアレイヤ
誤字報告、ありがとうございます。
アレイヤが絡んでから、次の展開を考える難易度が上がった気がします。
誰ですかこんなキャラ採用したのは。
「それは、アレイヤさんもこの任務に同行するという事ですか?」
「当然!ここは譲らないわよ」
「う~ん……」
これは困った。
これまでアレイヤという人物を見る限り、そう簡単に引き下がるとは思えない。
何か良い言い訳はないものか。
悩んでいると、アレイヤが肩を掴んで寄せてきた。
「ねぇ~クレイちゃ~ん、いいでしょ~?」
「うわぁッ!アレイヤさん!」
「緊張してる?女の子同士なんだし、別にいいでしょ?あ、もしかしてソッチ?よ~しそれそれ~!」
「ひ、ひぃ~~ッ!」
アレイヤが頬と頬を擦り合わせてくる。
思い返して見れば、クルトの頃からマトモに女性と触れ合った事がほとんど無い。
沈まれ!沈まれ!
もう付いてないけど、沈まれ!
「わ、分かりました!分かりました!」
「よし、言質取った!」
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ーー結局アレイヤを連れて街の外へ来てしまった。
初心な自分が恨めしい。
「ここで一度右に曲がります」
「右へ?この先が目的地でしょ?まっすぐで良いじゃない」
「最近ハイオークが渡ってきて、この先に居るんです、移動を再開して街へ移動する可能性が出る前に近々討伐依頼が出るそうですよ」
「知ってるわ、私に討伐の際に同行してもらえないか?って話が来てたから。それにしてもよく知ってたね、冒険者連中じゃまだ噂が出始めるかどうかってトコロじゃない?案内役志望?」
「えぇ……まぁ……」
「ふ〜ん、じゃ、行きましょ」
そう言ってアレイヤは曲がらずにズンズンと直進する。
「アレイヤさん?」
「言っておくけど、私が見たいのは案内役としての実力じゃないわよ?」
「うぐ……」
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ハイオークと対峙する。
オークの2倍はあろうかという体躯。
黒い肌。
しかしこれはハイオークの特徴では無い。
「あの、アレイヤさん……もしかして……」
「ハイオークじゃないわねコイツ、オークキングね」
発見者が見間違えたのか、それともこの短い間にオークキングへ成長したのか。
「ブフッ!ブフッ!」
オークキングがこちらを見て威嚇の唸り声をあげている。
「それじゃ、よろしくね!万が一……そうね、例えば手足の一本へし折られたり、頭をかち割られそうになったら助けてあげるから、安心して」
「怖い事言わないで下さい……」
一歩、前に出る。
「本気でお願いね」
「わかりました……」
大きく深呼吸を一回。
覚悟を決める。
どうかアレイヤが口の硬い人でありますように。
神剣を右手から呼び出す。
「へぇ……そういう事……」
「行きます」
クレイがそう発言した直後、「ドンッ」と音を立てて凄まじい速度でキングオークに肉薄する。
キングオークは全く反応できず、上半身を斬り落とされる。
正にあっという間の出来事である。
「アレイヤさん、これでいいですか?」
「……ふ」
「ふ?」
「フフッ、ウフフフフフフフ!」
え?何?何?
急に笑い始めたんですけどこの人!?
怖い!怖いよ!
「イイ!凄くイイよキミ!身近なところにこれ程の人が居るなんて!嗚呼イイ!イイ!」
「あ、アレイヤさん?」
「クレイちゃん!私と勝負よ!」
アレイヤが剣を抜き、クレイに向ける。
「え?嫌ですよ……」
「えぇーッ!そんなーッ!」
「依頼を忘れたんですか?急ぎなんですから、行きましょう」
流石にこれ以上は付き合いきれない。
カンベンして欲しい。
「ちょっとだけでいいからさー!お願ーい!」
……変な人に目を付けられてしまった。
アレイヤには今後「クレイの力をある程度知っている人物」として居てもらおうかと思っています。




