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アレイヤと疑惑

予定よりも早めのアレイヤ登場回です。

朝。

クレイは日課となっている依頼の確認の為にクエストボードの前に居た。


「さて、受けれそうな依頼はあるかな?」


何せ立場上、安い依頼しか受ける事が出来ない。

ちゃんと依頼をこなしていかないと生活ができなくなってしまう

最初に受ける事ができた美味しい依頼がそうそうあるものではないのだ。


急にギルド内がザワつき始めた。

どうやら誰かがギルドに入ってきたらしい。


その人は金髪ツーサイドアップの若い女性で、着ている服も防具もその辺の冒険者よりもずっと質が良い。

そして「何を食べたらそうなるんだと」言いたくなるものが顔の下で自己主張していた。

それにしてもこの顔……どこかで見覚えがある、誰かに似ているような気がする。


女性と目が合った。


女性がこちらに歩いてくる。

目の前で止まり、前屈みで視線を合わせてきた。

自己主張しているものが服の隙間から更に自己主張してくる。

今こそ少女クレイとして生活しているが、元々は男性なのだ。

どうしても視線が自己主張に奪われてしまう。


「キミがクレイね」

「え、あ、はい……ボクがクレイです……」


自己主張するものから何とか視線を引き剥がし、女性の顔を改めて見る。

やはりどこかで見たことがあるような顔だ。


「あの、何故ボクの名前を?」

「あぁ、ゴメンゴメン、私はルニスの姉でアレイヤ、よろしくネ☆」


ウインク付きの自己紹介。

どこかで見た顔だと思ったら、この人があのルニスの姉らしい。

確かにルニスの面影がある。


「キミの事はルニスから聞いていたのよ、可愛い弟を助けてもらったんだもの、任務として受けていないから報酬も特になかったらしいじゃない?せめてお礼の言葉くらい言わせて頂戴」

「そんな……(面倒臭そうな感じがするんで)要りませんよ、ルニス君も無事でよかったです」

「あらら、そう?謙虚ね、しかしそれにしても……ふむ……ふむ……へぇ~……」

「な、何なんですか?」


アレイヤはクレイを上から下まで観察する。

まるで値踏みでもするような視線に思わずたじろいでしまう。


「なるほど!なるほど!キミがルニスの変な素振りの原因か!」

「え?素振り?」

「もし()()()が来るようならヨロシク頼むよ!ハッハッハッ!」


彼女が何を言っているのか全く分からない。


「とにかく、お礼をしたいんだ、一杯くらいオゴらせてよ、いいでしょ?」

「ええ、まぁ……」

「じゃあ隣の食事所へ行きましょ、席はキミが選んで」

「分かりました、行きましょう」


クレイが先導して席を探すことになった。


※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※


「カァーッ!この飲み物美味しいね!何てヤツだっけ?」

「ナナイロブドウの実を絞ったものですね」

「あぁ、あのいろんな色の実がなるブドウね、絞ると割と普通の色になるのね」

「皮は剥いて絞るので、皮を剥くと普通なんですよ」

「へぇ~……」


アレイヤはクレイと会話しつつ、彼女を観察する。

最初は本当にお礼を言いに来ただけだった。

ルニスに助けてくれた冒険者がどんな人なのかを聞いたのだが、「クレイ」という名前の「女性」で「銀髪」以外教えてはくれなかった。

更に聞き出そうとすると「もういいだろ!」と顔を耳まで真っ赤にして庭で素振りを始めてしまうのだ。

書面でギルドにも問い合わせたが、使えそうな情報は名前と「登録時に最弱評価を貰った」だけだった。

結局直接ギルドに出向き、自分で探すことになったのだが……。


まさか()()()()()()()()だとは思わなかった。


クレイを見つけた瞬間から、アレイヤの目的が変わった。

すなわち"クレイはあの触手のモンスターを倒したのか"を確かめる事に。

しかし今のところクレイがそうである、という確証は得られていない。

腰から下げているのは剣ではなくナイフだし、隙だらけだし……。

数々の戦いを潜り抜けた者は「周囲を警戒する」というものが身に染みている。

それこそ日常生活でも無意識に僅かだが行動に現れる程に。

だがクレイにはそれが無い。

しかし、アレイヤの勘が「怪しい」と言っている。


分からない。


ええい、面倒臭い。

今すぐ立ち上がって、剣を抜いて彼女の首を狙えば何かしらの反応があるんじゃなかろうか。

仮にハズレだったとしても寸止めすれば問題ない。

よし、そうしよう。

よしやろう。


アレイヤが剣に手を添える。


「ニナさん?」

「あの、お話し中すみません、クレイちゃんに受けて頂きたい急ぎの任務があるのですが」

Q:脳筋ですか?

A:割と脳筋の予定です。

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