宣戦布告 1
その日の午後のうちにダウニング街10番地において、閣議が行われた。何人かの閣僚は、指定された時間よりも遅れて到着した。市街地でマスコミの追及にあったからだ。
「我々は、これに対する対処をしなければならない。」
ボールドウィンは至極当たり前なことを言った。
「国王陛下へ、この事を申し上げた方がよろしいですか?」
閣僚の一人が質問した。
「国王陛下……いや、やめておいた方が良いだろう。このことでストレスを掛けて体調を悪化さしてはいけない。仮にも、まだ決まった訳じゃあないのだ。」
このようにこれからどうするかというテーマで閣議が続き、閣僚皆が疲れはじめていた頃、ある一通の電報が、内務大臣のサー・サイモンに届けられた。それを受け取り読んだサイモンは恐れなどの感情もあって青ざめた。
「どうした?サイモン卿。」
サー・サイモンはこう言った。
「先程……スコットランドの……スコットランドのアバディーンからロサイスにかけて、大火が発生した模様です。」
「大規模な放火かなんかだろう。この異変で社会が安定を失ってきている証拠だ。我々も早く対策を……」
「どうやら!」
サー・サイモンはボールドウィンの言葉を遮った。
「……失礼。どうやら、付近では……火を吹く竜を見たとの証言が相次いで……いるようです。」
ダウニング街10番地は、騒然とした。
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