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episode6 走る。

 俺は、駅に全速力で向かう。改札を駆け抜け、電車に飛び乗る。

 早く会いたい。

 早く抱きしめたい。

 そんな気持ちが俺の中を巡る。


 電車が駅に着き、改札を抜けて彼女の家まで走る。走る。

 何事かと、周りの人が振り返るが気にしない。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 今日は昨日のことを話すのが怖くて一樹に話しかけれなかった。というか、顔を背けて逃げてしまった。

 あの後、藤木さんと一樹がどうなったのかは知らない。


 藤木さんは何も悪くない。私と同じで一樹のことが好きなだけだ。


 私の一樹への愛が本物だと証明するにはどうすれば良いか。


 その時


ピンポーン


 インターホンがなった。

 玄関を開ける。

 すると、いきなり抱きつかれた。一樹だ。この感触は一樹だ。申し訳なさ、嬉しさのあまり、涙が出る。


「な、なんで泣いてるんだよ凛ちゃん。」

「ご、ごめん。」


 こうすれば良かったのだ。1番簡単なのはこうすれば良かったのに、一樹に先をこされてしまった。


 一樹は私の部屋に上がり、しばらくすると。

「凛ちゃん。見てたの?藤木さんに告白されてるところ。」

「え?なんで?」

「藤木さんが、ドアの隙間から凛ちゃんが見えたって。俺と、凛ちゃんが仲直りして欲しくて教えてくれた。」

「そ、そうなの⋯⋯。それで、どうなったの?」

「お断りしたよ。俺は、凛ちゃん一筋だから!」

 一樹は、顔を真っ赤にしながらそう言ってくれた。涙が止まらない。ほっとして気が緩む。

「私も、怖くて。もしも一樹が舞ちゃんと⋯⋯。」



 その言葉を聞いた俺は、凛をぐっと引き寄せて口づけする。

「ほ、ほらこれで凛ちゃんは俺のものでしょ?この唇は誰にもあげないつもりだから!」

 顔が熱くなって今にも破裂しそうだ。

「つもりなの?」

「あ、あげないから!」

「ふふふっ。ありがとう一樹っ!」

 こうして、誤解は解けた。それに、もっと2人の距離が縮まった気がする。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 次の日、学校に2人で登校すると藤木さんが俺たちの元に駆け寄ってきた。

「よ、良かった!仲直り出来たの。わ、私の責任なんだけど⋯⋯。」

「違うよ舞ちゃん。私と同じでしょ?舞ちゃんも一樹のことが好きなだけで勇気を出して告白したんだから!」

 隣でこんなに会話をされるととても恥ずかしい。

「私たち、ライバルでもあり、親友だねっ!」

 本当に凛は優しい。それに、俺たちのために相談に乗ってくれた藤木さんも。


 俺は、本当に凛と付き合えて幸せだ。


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