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episode5 ドアの隙間

 凛からあれから1度も返信が無い。昨日も、学校で顔を合わせるも逃げるように去っていく。


 教室の机で落ち込んでいると。

「山本くん。どうかしたの?元気ないけど⋯⋯。」

「いや、なんでもない。」

「なんでもないわけないよ!なんで泣いてるの?」

「え?」

 気がついたら泣いていた。なぜだか分からないが、避けられるのが辛かったからだと思う。


「凛ちゃんと何かあったの?」

「まぁ。」

「私でよければ話を聞くけど。」

「ありがとう。それじゃあ、駅前の喫茶店で話を聞いてくれないかな⋯⋯。」

 学校では他の人に聞かれて噂が広まる危険性もある。

 それに、誰にも頼らずに解決したいところだが、こんなのは初めての体験でどうしていいのか分からない。

「でも、凛ちゃんと帰らなくてもいいの?」

「メールしても帰ってこない⋯⋯。」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 放課後、俺と藤木さんは駅前の喫茶店に来ていた。クラスの女子の目撃情報によると、凛は終礼が終わるとすぐに帰ったらしい。

「俺、嫌われたのかなぁ⋯⋯。何したんだろう。」

「私、心当たりあるの。」

 藤木さんが驚きの一言を発した。

「この前⋯⋯。屋上で告白した時、凛ちゃん見てた気がするの。ドアの隙間から。どこまで見てたかは分からないけど。」

「え!?分かったの!?それなら言ってくれればよかったのに⋯⋯。」

 こんなの見られたらまずいことになるって分かってたが、本当に見られているとは思わなかった。


「ごめん!私、あわよくば山本くんと付き合えたりとか考えちゃって⋯⋯。分かってたのに言わなかった。」


 ここで藤木さんを責めても何も変わらないし。まず、藤木さんは悪いことは何一つしていない。


誰よりも凛のことが好きなら、面と向かって話をするべきだ。俺は、そう心に決めた。


「藤木さん。今回のことは気にしないで。ただ俺が好きだっただけでしょ?それは何も悪いことじゃない!それに、勝手に見てたのは凛ちゃんが悪い。でも、俺は凛ちゃんを誰よりも好きだから。その気持ちがあれば絶対に誤解をとくことが出来ると思う。」


「山本くん。本当にごめん。」

「悪いけど、藤木さんも凛ちゃんに会ったら一言でいいから何か言ってあげてくれる?」

 そう言い残し、俺は足早に凛の家へと急ぐ。


 大好きな彼女の元へ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 私は、見えた。私が山本くんに告白した瞬間。泣きそうな目でこちらを見つめ、走って階段を駆け下りて行くのを⋯⋯。

 とても卑怯なことをした。一瞬、このまま付き合ってしまえばとか思ってしまった。自分が嫌いになる。


 それでも、山本くんは私を庇ってくれた。優しすぎるからいけないんだよ⋯⋯。


 私も、凛ちゃんに心から謝りたいそう思った。

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