episode1 告白
新作です。
中学校の卒業式のあと、俺は校舎の屋上に呼び出された。
屋上への扉を開けるとそこには、身長は160cmくらいのとてつもないほど美少女が立っていた。さらに、風でロングヘアなびき、神々しくも見えてくる。
「山本くん来てくれたの?」
俺を、屋上に呼び出したのは三上凛。同じクラスの女子で1ヶ月ほど前から俺の事が好きという噂が流れていた。一応俺の耳にも入ってきていた。
「うん。」
告白されるだろうと予想はしていても、ものすごく緊張する。さすがに、このシチュエーションで「私の前から消えてください」はありえないだろう。
「わ、私、山本くんのことが好きっ!」
ほ、本当に告白されてるのか俺。
「お、俺でよければお願いします!」
気がつくと、OKしていた。初めての
告白だったし。こんな美少女に好かれてとても嬉しかったからだ。
『私、一樹くんとずっと一緒に居るつもりだから!』
その言葉を聞いて俺には、疑問が浮かぶ。今日で中学校生活は終わり。皆、別々の高校へ進学してそれぞれの道を歩む。深く考えていると。
「一樹くん。見せたいものがあるから、支度出来たら私の家に来て!」
付き合って数時間足らずで彼女の部屋に行けるのか⋯⋯。
俺たちは、メールを交換して駅まで2人で帰った。
「えっと、支度出来たらメールするから。」
「分かった。待ってるねっ。」
彼女は頬を赤らめて、そう笑顔で返事をした。
家に着いても、彼女が出来たという実感がわかない。
制服からラフな格好に着替えて、彼女にメールをする。
【支度終わったから、今からそっちに行くね。】
【分かった。ありがとう。♡】
彼女の返信の最後に♡が着いていて少し興奮した。
駅に着くと、彼女が改札の前で待っていた。制服から着替えていてとても可愛い。すごく可愛い。
「一樹くん。思ったよりも早く来たね!」
「は、早く会いたかったし⋯⋯。」
自分でも彼氏らしいセリフを言ったことに気づき顔が赤らむのが分かる。
「自分でかっこいいこと言っておいて照れるなんて。一樹くんも可愛いとこあるよね。」
「み、三上さんの方が可愛いよ⋯⋯。」
「ほら!また照れてる!それとっ。三上さんじゃなくて凛でしょ?」
「り、凛ちゃんも可愛いよ⋯⋯。」
今にも、蒸気機関車のごとく頭上から煙が出そうだ。
俺たちは、凛の家を目指して歩いている。気づくと手を繋いでいた。凛はとても楽しそうに歩いているが、俺はと言うと緊張で足がガクガクだ。
駅から、10分ほど歩き凛の家に着いた。親は、共働きで帰りが遅いらしい。
「どうぞ!は、入って!」
「お、お邪魔します。」
緊張で玄関の段差でつまづきそうになる。
「ここが私の部屋だから、座って待ってて!」
凛の部屋は、綺麗に片付いていて女の子らしい部屋だ。とは思いつつ、異性の部屋に入るのは初めてだ。
「ごめん。オレンジジュースしかなくて⋯⋯。」
「大丈夫だよ。オレンジジュース好きだから!」
「私とどっちが好き?」
凛はこういうふうに俺をからかうのを楽しんでいるようだ。
「り、凛ちゃんの方が可愛いよ⋯⋯。」
「わーい!嬉しいっ。」
今日1日でどれぐらい顔が熱くなっただろうか⋯⋯。
「み、見せたいものがあるって聞いたんだけど何?」
「一樹。私、ずっと一緒に居るつもりだから。」
「それは、さっきも聞いたけど。」
「だから、卒業式の日にそれを言われるのって何か意味があるとは思わないの?」
その言葉に違和感は感じていたものの途中で考えるのをやめていた。
すると、凛はクローゼットを開けた。
「お、女の子のクローゼットだから、あんまり見ないでっ」
「ご、ごめん。」
クローゼットの中から、凛は制服を取り出した。
「これ、見てよ。」
「そ、それは。俺が行く高校の制服!な、なんで!?」
「ずっと、一樹くんのこと好きで。もし今日フラれても高校でも一緒にいたかったし。」
「つまり、俺を追いかけて同じ高校を受けたってこと?」
「う、うん。」
俺の通う予定の学校はかなり偏差値は高く。受験は難しいはずなのに。俺のために頑張ってくれたというのか。
「ありがとう。凛ちゃん。すげぇ嬉しい!」
俺は、思わず凛に抱きついた。
「か、一樹ったら大胆!」
「ご、ごめん!」
「ふふっ。そういう意味じゃないよ!」
もう夜も遅いので今日はこれで帰ることにしたが、電車の中でも凛のことが頭から離れなかった。