4話 ACT2-2
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シキステータス
Lv.1
種族-ヒューマン
ジョブ-ノービス
HP(体力) 12
MP(魔力) 12
STR(物理攻撃力) 0.6
DEX(命中率) 0.6
VIT(防御力) 0.6
INT(魔法攻撃力) 0.6
AGI(俊敏性) 0.6
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さきほどナビゲーションに案内された時に”--“となっていた箇所には数値が記載されている。シキのステータスを覗き込むサラ。
「うんうん。レベル1だからこんなものだよね」
ステータス画面を一緒に見ながら、シキが思っている事を言葉にする前にコメントしてシキを方へ振り向く。これからがんばろうね、と嬉しそうなサラの顔がシキのモチベーションをうまくコントロールする。
「種族はヒューマン、私達一緒だね。種族にはステータス補正があります。ヒューマンはバランス型。他の種族の補正は他のプレイヤーと絡んだ時に説明するね。私のジョブは基本職アーチャー、上位職スナイパーかな。シーちゃんは初心者ジョブを意味するノービスだね。さっきジョブの説明があったけど、やりたいジョブはある?」
しれっと他プレイヤーとの絡みを示唆したサラに社交性ゼロを越してマイナスパラメーターになってるシキはツッコミを入れたがったが、あえてここは流しておく事にする。サラは、分かっていてあえて言っているのは間違いない。完全に社交性改善を狙ってやがるな。
サラのエルフ族を彷彿させるその姿は、確かにスナイパーというジョブはふさわしい。
「基本職と上位職ってのがあるんだな。さっきの説明はたしか基本職の案内しかしてなかったな。俺はどうしようかなあ、分かりやすくSTR(物理攻撃力)型のファイターかな」
シキは軽く体をならすのも兼ねてシャドウボクシングをしてみる。そうシキは、家が道場経営と共に父親が武道を嗜んでいるのもあり、子どもの頃、空手をやっていた。高校へ行きだしてからすっかりサボり気味だが、体がなまらない程度にトレーニングもしている。そう考えればファイターを選ぶのはごく自然だ。
「うーん、ファイターもいいけど在り来たりだから、他のでいこうよ。DEX(命中率)型のアーチャーは、私と一緒だからしないほうがいいし、VIT(防御力)型のナイトもファイター選ぶ理由と変わらなくなっちゃうから、INT(魔法攻撃力)型のウィザードかAGI(俊敏性)型のシーフとか」
っと、ごく自然な流れに行かせないサラ。シキの全身をまじまじと見ながらうーんと考える。
「うん、INT(魔法攻撃力)型のウィザードにしようよ」
本当は特に反論はないが聞いてみる。
「なんで?」
素直にうんと言わないシキの性格がわかっているサラは、気になるでしょ?と言わんばかりの表情で返し、続いて説明を始める。
「だってAGI(俊敏性)も結局、シーちゃんのプレイヤースキルで補正かかってると思うの。VBCから生み出されるアバターは、その人が潜在的に持っているフィジカルも反映されるんだけど、現実世界の身体で鍛えているシーちゃんは、なんだかんだ攻撃、防御、俊敏性を兼ね備えていると思うから。だったらせっかくのファンタジー要素の強いAHなんだから、魔法属性にジョブを合わせたほうがいいかなって」
至極真っ当なサラの説明。すごく腑に落ちる。なるほどなるほどとうなづく。ただ一点の矛盾を除いて。
「だがサラよ。俺はVBCアバターでログインしてるわけではないのだよ」
「あ!!」
「あ!!、じゃねえよ」
サラが狙って喋っていたのか抜けていたのか分からずだが、ついついお互いに笑ってしまう。
「まあ、その辺はホロジェクターグラスでもうまい事補正されてるから大丈夫だよ。ウィザードでいこう。お〜」
そのまま押し切りやがった・・・。
「まあいいか。よし、ウィザード目指してレベル上げするか」
「いいねいいね。レベル上げがんばろう。他の説明もさらっとしておくね。LVはレベル。HPは体力。MPは魔法を発動する時に使用する数値をこの分までなら使えるよという魔法力かな。STR(物理攻撃力)とDEX(命中率)とVIT(防御力)とINT(魔法攻撃力)とAGI(俊敏性)は説明済みだよね?HPは0になったらGAMEOVERだけど、どこか近くの街や村の教会で再生するか一度そこでGAME中断する?みたいなアイコンが出てくるので選択かな。パーティーの時の0になるとちょっと恥ずかしいよ〜」
ここでまたしれっとパーティーという名のコミュニティも示唆してくるサラ。
「おいおい、俺はパーティー組まねえからな」
「ええ!!、ちゃんと私とは組もうよ。二人なら恥ずかしくないよね?小さい時、お風呂だって一緒に入っていた仲だし大丈夫でしょ?」
「いや、その恥ずかしいとこの恥ずかしい、違うだろ」
「そうなの?あ、シーちゃん、ちょっと想像したでしょ。エッチ」
「いやいや、してねえし」
しれっとコミュニティ絡めるぞアタックをこれ以上聞いていないふりして交わすのは無理だと判断したシキはちゃんと言葉にして拒否してみるが、またまたうまい方向にサラが持って行ってしまった。会話の応戦でサラには勝てない。
「あはは。そっか。とにかく、シーちゃんは私以外とのパーティーは当面なし。わかった?」
もちろん言われるまでもなく、っというかそれなりのレベルになったとしてもシキが自分からどこかのパーティーに入りたいと思わない。人とつるむのが苦手かなり苦手だ。っとはいえ、この流れからすると、そのうちサラがどこかに入るのを決めてそこに無理やり参加させられるのだろう。そして最後は幽霊部員になるのも目に見えているが・・・。
「わかったわかった。ちなみにレベル上げって結構サクサクいけるのか?なんとなくだがこのレベル1のステータスの低さは結構なものな気がしてるんだが・・・」
「そんなに気にしなくても大丈夫だよ。レベル上げが作業にならないように一工夫二工夫されているから。ただトレーニング好きのシーちゃんからするとちょっと物足りないかもしれないね」
サラがさきほどのシキのシャドウボクシングを真似しているのか、腕を交互にふんふん、と動かし正拳突きしている。
「別にトレーニングが好きなわけじゃない。親父から鍛え上げられた結果そうなっただけだ。ただサラの言う通り、俺はアナログの古い人間だから、コツコツやっていかなければいけないのをサクサクいくのは効率的でありがたいけど、どうも感覚的にまだピンとこないな。親父なんかが知ったら、だからお前らはダメなんだ、とか言いそうだけど」
「あはは、そうだね。シーちゃんのお父さんはVBC否定派だもんね」
「そうだなあ」
サラが苦笑いする。サラ一家がVBCや最新技術に敏感なのに対して、完全アナログのシキ一家はVBCや最新技術は人間を退化させると思い込んで食わず嫌いしている。実はシキ自身はVBCを否定しているわけではないが親父への建前と天邪鬼な性格もあり、ここまでズルズルきてしまっているのは否めない。
正直、サラにはそのシキの心情もバレている気はしているが・・・。
「私達の種族ヒューマンは、バランス型なのでレベルアップにあわせてバランスよく数値があがっていくの。他の種族の補正は他のプレイヤーと絡んだ時に説明するね、ってさっき言ったけど、軽く説明すると他の種族だと、この5つのステータスに強い弱いの補正がかかったりするから結構ステータスバランスは変わったりするかな。本来ジョブ選ぶ時もその種族のステータスに相性のいいジョブを選ぶ事も多いんだけど、その辺を今考えると大変なのでそこも追々説明していくね。あとは自由に自分で割りふれるステータス数値もレベルアップに合わせてもらえるから、そこで個性をつけたりもできるの。次はスキルね」
当たり前といえば当たり前だが、結構複雑な仕様になっているようだった。シキが面倒くさがりそうに思う場面で後回しの説明にしようとする所は、流石シキを知り尽くしているサラだからこそのナビゲートテクニックである。そう思えば、ナビゲーターの説明に対して横槍入れてきたサラの行動に伏線を感じてしまうのはシキだけだろうか。
「そうだな。スキルは。っと。俺のは、、、何もないよな。サラのスキルは?」
「私のスキルは、ねえ」
サラがシキに自分のスキルページを共有する。
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サラスキル
アーチャー職スキル
【命中率上昇】E+
【ダブルショット(2回連続攻撃。中ダメージ)】C+
【パワーシュート(中ダメージ)】D
スナイパー職スキル
【フェイルノート(確実に中ダメージ)】E+
【ボムシュート(爆弾の矢、大ダメージ。確率で炎上状態)】E+
【レイザーアロー(大ダメージ。出血状態付与)】D
【クリティカルスナイプ(クリティカルヒット確率アップ)】E+
【アローレイン(狭い範囲に30本の矢)】E+
装備スキル
風精の軽鎧
【ステルスシュート(気づかれずに中ダメージ)】C
熟練狩人のニーソブーツ
【スニーキング(攻撃対象から外れる)】D
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「すげえスキルの数だな」
「ふふん、がんばったもん」
シキが素で大きなリアクションするあたりに、嬉しドヤ顔で返すサラ。褒めて褒めてと子供が親に投げかける時におくる視線を感じたが、天邪鬼のシキがその通り求めている事をしてはあげない。
「そういえばサラってレベル幾つなんだ?」
褒めてくれないんだ、と少しシュンとするサラ。もう、と言いたげに説明を続ける。
「私はレベル50。この世界のプレイヤーレベルで言うと中の中くらいかな。各スキルの効果は一個一個コマンド選ぶときに補足説明で出てくるから、覚えていなくてもバトル時に確認しながら使うとかで全然大丈夫だよ」
「なるほどなあ。このスキル名の隣に書いてあるアルファベットとかが強さのランクって認識でいいんだな?」
「そうそう。この辺もレベルアップしていくとステータス数値をもらえるから、どこに割り振ったりとかそういう時にまた説明するね」
「よくわかんないし、覚えるの面倒くさいから常に教えてくれ」
「そうやってまた面倒くさがる。慣れてくるまではちょっと面倒くさいけど慣れてきたら色々楽しくなるから。もうちょっとがんばろ、ね」
お願いお願いと手を合わせてスリスリしている可愛いサラ。お前の為にがんばるよ。声に出しては言わないけど。
「今聞いてる話の半分ももう忘れてるけどな」
「もう。本当はマイページのウィンドウの中に細かい説明マニュアルだってあるんだよ。でも絶対シーちゃん読まないもん。だから、こうやって説明してるの。何も知ろうとしないで適当にやって面白くないから、もうやめた。とか言いそうだもん」
「さすが、よくわかってるな」
「えっへん。って違うから。今言いたいのはそこじゃないから。本当はチュートリアルでこの後モンスターと戦ったり武具の揃え方とか色々あるんだけど、シーちゃん言われた通りに作業だけして、そのまま忘れそうなのはわかっているから、チュートリアルはスキップしたの。この後、街の外に出てモンスターとの戦いに行こ」
サラがここまで至れり尽くせりでシキの相手をしてくれる事に対して、どう返していけばいいかは分からずもサラの気持ちを極力汲み取ってあげたい気持ちはある。ただお互い異性を意識するような年齢になってしまっているし、昔のような親密さとかまた距離感が違う。あくまで二人は仲良い幼馴染。下手に前衛戦張りすぎて爆死すると危ないからな。
うむうむとシキは一人消化する。
「また、よからぬことを考えてるな。シー代官」
「いやいや、考えてねーよ」
そうは返答したものの、よからぬことではないが本当は色々考えてたのは確かだ。サラの察知能力の高さを注意せねばと思うシキだった。
加筆修正始めました。今はここまでです。少しづつ修正加えていきます。大きな物語の変更はなく読みやすさ、描写改善です。