22話 ACT6-2
情報整理、仮説、検証のメモをお互いのマイページに保管しておき、シキとリンカはパーティーを一度解除する。
「レベル上げをしたり装備も変えたりしたいでしょ?
本当はパーティー組んでる状態が経験値もシェアできていいんだけど、今はソロプレイヤーなら声がかかるのかの可能性を優先ね。
私が声をかけられるのを待ってる役をやるわ。
それまではもろもろ準備に時間使って大丈夫よ」
「それは助かるな。AHに来てから何かとバタバタしててゆっくり準備する時間がなかったしな。それじゃ何かあったら連絡くれ」
立ち上がって外に向かおうとするシキをリンカは止める。
「ちょっと待って。レベル上げは良いとしても、武器、防具ってどうやって揃えるのかわかってる?」
「どうやって。ってお金貯めて店で買うんじゃないのか?」
「はぁー、本当、何も知らないのね」と呆れられ、説明を受ける。
AHでは武器、防具、アクセサリーは店でも売っているが、店で売っている物は基本品しかない。
とりあえず。といったのみでの販売になっている。
しっかりとした装備品を得るためには素材集めをして鍛冶屋に依頼して作ってもらって用意するのが常套である。
そのため武具を揃えたいとなった場合は、まず鍛冶屋に行って鍛冶リストをもらいリストの中からほしい武具にあわせて必要な素材を確認する。
素材がどの地域でとれるかどうかもリストには書かれているので、この地域でとれる素材に重点を当てて取っていく流れになる。
「もし、どうしても足りない素材とかがあったら連絡ちょうだい。私が持っているかもしれないから。
もちろん素材以外でも、どんなことでも大丈夫だからもちろん何かあったらすぐに連絡するようにね」
まるで目を離す子供を心配するかのようにリンカに色々言われながら、集会所兼アパートメントを出るシキ。
教会を過ぎ、アイテムショップを過ぎたところで鍛冶屋がある。
街を行き交うプレイヤー達がワイワイガヤガヤと楽しそうな雰囲気を出しているのを見ると、シキやリンカの懸念が取り越し苦労で終わること願うばかりである。
鍛冶屋につくとNPCのオヤジ店主がムスッとレジのところに立っているので、声をかけて鍛冶リストデータを送ってもらう。
シキは渡された鍛冶リストデータをマイページで見るが、膨大な量に何をどう選んで良いのかすらまったくわからないので、鍛冶屋のオヤジ店主にどれがいいかを教えてくれないかと相談する。
オヤジ店主は何を言うわけでもなくシキをじっと見始める。
じっと見てくるその見方は人が人を疑いながらジロジロと見てくる見方とは違い、プレイヤー情報を吸い上げているような機械的な動きだった。
おそらく属性を見定めているのだろう。
一通りの判断が済んだのか新しい鍛冶リストデータをオヤジ店主からもらう。
改めてもらったリストを見ると
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オススメ
装備
・武器 木の杖
→ ジャイアントベアーナックル
取得方法
ジャイアントベアーの討伐でジャイアントベアーナックルをドロップ
・盾 なし
→ なし
・頭 なし
→ ジャイアントベアーフード
取得方法
ジャイアントベアーの討伐でジャイアントベアーの毛皮を取得
ポイズントーの討伐でポイズントードの皮を取得
鍛冶依頼
・体 村人の服
→ ボアレザースーツ
取得方法
レッドボアの討伐で皮と牙を取得
鍛冶依頼
・腕 なし
→ レッドボアレザーアーム
取得方法
レッドボアとの戦いで皮を取得
ポイズントードとの戦いで皮を取得
鍛治依頼
・靴 村人の靴
→ ケルピーブーツ
取得方法
ケルピーとの戦いでケルピーの蹄を取得
ポイズントードとの戦いで皮を取得
フォレストスピナーとの戦いで糸を取得
レッドボアとの戦いで骨を取得
鍛治依頼
・アクセ1 なし
・アクセ2 なし
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鍛冶に必要な素材だけではなくドロップで手に入れられる武器も記載されていて、この情報だけで今のどんな武具一式を用意したらいいかも分かるようになっている。
またよく見てみると取得及びドロップするために討伐する必要があるモンスターは《イースの街》の外だけで事足りるリストにもなっていた。
「これは、便利だな。おっさんありがとな」
シキは鍛冶屋を出てアイテムショップ、教会、アパートメントと過ぎて、駅を過ぎ街に出る。
街の出口を出ると《アルバの街》を出た時と同じような草原が広がる。
シキは草原に出るとレアイベントクエストで出現した《汚水洞》を思い出し、連想してサラや鉄仮面も思い出してしまった。
サラを救えなかった自分自身への苛立ちを覚えながら草原を探索する。
もっと強くならないと・・・。
探索していると数メール先にケッコが現れ、ケッコはシキを認識しバトルモードに突入する。
ケッコは鶏がでかくなったようなモンスターで以前も戦ってるので楽勝だ。
オヤジ店主からもらったリストを見るとケッコからは必要な素材もドロップもなかった。
前回と同じように正面から突っ込んでくるケッコを横に交わし、拳で殴りつけ一発で倒す。
続けて探索していると現れるケッコ、ゴブリン、羊のスリープシープ、狼のコボルト。
ウォーミングアップも兼ねつつストレート、フック、ミドルキック、ハイキックを当てて倒していく。
ここまでのモンスターは一発ほぼ仕留められる。
ウォーミングアップも済んできたころ、お目当てのモンスターともエンカウント(遭遇)する。
ポイズントード。
その名の通り、毒を持つでかいカエル。
見た目のグロテスクさからどうも攻撃を拳と蹴りで行っていくには抵抗があったシキはこのタイミングで、【マジックアロー】を拳に宿す。
ホロジェクターグラスの時は【マジックアロー】を拳に宿す為のコマンドが明確にあったわけではなかったので確実な発動に自信がなかったが、今回はしっかり思考コマンドとスキル発動が連動している。
これがリキの言っていたVBCヘッドセットへの改良を加えたときにコマンドとして加えておいたという内容なのだろうか。
【マジックアロー】を拳に宿した状態でシキはポイズントードに全速力で走ってむかう。
ポイズントードはシキに標的をあて、一瞬溜め込んだあと口を大きく開けて出てくる舌がまるで鋭い矢のように鋭角な形とスピードでシキに迫ってくる。
シキはその鋭角な矢を走りながら少しかがみ避け、ジャンプし、ポイズントードの顔面に思い切り殴りつける。
【マジックアロー】の気の塊に包まれた拳で殴られたポイズントードはすさまじい勢いで吹き飛ばされ、HPゲージも一気に0まで下がり、光の粒子となって散る。
ひとまず討伐報酬で欲しかった素材である《ポイズントードの皮》を取得した。
次は本日20時に投稿します




