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12話 ACT3-6

 シキはさらなる攻撃を意識して背を向けたまたマティを抱きかかえてかばった状態で上級ポイズンウーズを振り返ると「ビャ、ビャ、ビャ」と笑っている。

 このタイミングを見逃さずシキは急いでマティを抱きかかえたまま走り抜けサラやミティの元に戻る。


「シーちゃん?大丈夫?」


「追加攻撃食らっていたらやばかった」


 毒に侵され出血状態になりHPが減り続けているシキはサラからHP回復薬と毒消しを飲ませてもらう。

 マティに刺されていたミティはHP回復薬を飲み立ち上がっていて気を失ったマティをシキから受け抱き寄せる。


「マティ・・・、なんでこんなことを・・・」


 ミティはマティが依然毒に侵されていてHPを消費していっている状況に加え、洗脳状態になってしまった事実を受け入れられずにどう対応したらいいかをシキに求めてくるような表情をする。


「マティは一時的に気を失わせているからしばらく目を覚まさない。今は色々な事に困惑しているかもしれないけど諸々の解決は後だ。

 とにもかくにも上級ポイズンウーズ倒してみんなで街に帰ろう。とにかくミティはマティの側にいてあげてくれ」


「はい。すいません。ありがとうございます」


 シキはサラと顔を見合わせる。


「上級ポイズンウーズは猛毒以外にも相手を洗脳させる事もできるのか?」


「私も初めて相手にするモンスターだからわからないけど、普通に考えるとちょっと変だよね・・・」


「モンスターも特殊モンスターってのが存在するって考えればいいのか?」


「そう考えていいけど断定はできない。AH(アストラルホライズン)は細かいアップデートを繰り返し続けている傾向があるんだけど、変更点をプレイヤーに周知してこないことが多くて。

 しれっとガイドラインに反映されていたりすることがあるの。

 プレイヤー達からの不平不満も結構聞くけどこの方針は変えないみたい」


「なるほどな。ともあれ、とりあえずは目の前にいるおかしなモンスターを倒してってことだな」


「そうだね。もろもろ気になることはいっぱいあるけど今は目の前のモンスター討伐だね」


「・・・。俺の中でひとつ作戦がある」


「え?なに?」


 シキが上級ポイズンウーズと戦っていて感じていていた違和感。

 その違和感を仮説として攻める攻略を考えサラと共有する。


「頼むぞ」


「確かに言われてみれば・・・。でもその作戦はダメだよ。シーちゃんへの負担が大きすぎる」


「大丈夫だって。俺のプレイヤースキルの底力はサラが一番わかってんだろ。やばいと思ったら引き戻してくれればいいから」


「危ないと思ったらすぐ後方まで引き下げるからね」


「わかってる」


 依然として「ビャ、ビャ、ビャ」と笑い続けている上級ポイズンウーズに向かってサラが矢を放ちシキが走り始める。

 攻撃パターンはファーストコンタクトと一緒である。上級ポイズンウーズはスピードが速い。

 初回の矢の攻撃を交わされるのは想定しているので追加のスキル発動を入れる。


「【フェイルノート】」


 最初の矢、シキ、【フェイルノート】の順でならんだ攻撃は最初の矢を上級ポイズンウーズにかわされるが、シキはその後の攻撃を続けず【フェイルノート】が上級ポイズンウーズに直撃するのを見届け、動きが止まった瞬間に右フック、左フック、右ストレートと殴り続ける。


「うぉらーーー」


「ビャーーー、ビーーー」


 シキに右フック、左フック、右ストレートと攻撃してくる上級ポイズンウーズ。


「く!!」


 上級ポイズンウーズの攻撃にHPゲージを減らすシキ。


 だが読み通り。


 上級ポイズンウーズは相手の攻撃を真似てミラーリングする仮説を立てたシキは、こちらの攻撃を避けてミラーリング攻撃されるパターンでシキやサラのダメージがどんどん大きくなっていくパターンを懸念して肉弾戦を立てる。

 最初の一発のみ動きを止めるために【フェイルノート】の攻撃をサラに頼み、それ以降はひたすら殴り合い。

 サラには大丈夫だといったが、やはり出血状態及び毒に侵されいる状態でHPゲージを減らしながら上級ポイズンウーズと殴り合いはシキのHPゲージの消費のほうが激しかった。

 どこかでHP回復薬を飲めればと思ったがその時間を確保する事もなくひたすら殴り合い続ける。


「うぉらーーー」


「ビャーーー」


「シーちゃん!!、もうダメだよ。後方に下げるよ」


 サラもシキと状況ポイズンウーズのHPゲージの減り具合を比較してシキのほうが不利だと判断したようで、助けに入ろうとしている。


 ここでサラに助けに入られるときっとポイズンウーズの攻撃でサラ自身も毒素に侵されてしまう。

 《汚水洞》に入る時に所持しているアイテムも半分以上に使ってしまっている。

 ここでまた次の攻撃タイミングを作っていくのだけは避けたい。


「【マジックアロー】」


 このタイミングでなぜ【マジックアロー】のスキルを口に出したのかはシキには自分自身すら理解できなかった。

 理解できなかったのは頭だけで【マジックアロー】の発動とともに右手拳に宿された【マジックアロー】で上級ポイズンウーズに右ストレートで殴り倒す。


「ビャーー!!」


 吹き飛ばされた上級ポイズンウーズとHPのゲージの減りをみて今まで与えてきたどのダメージよりも大きいのを瞬間的に認識したシキ。


「【魔法攻撃力上昇(マジックパワーアップ)】」


 HPゲージの減りが危険水域まで来ているので本来であればHP回復薬を飲まなければいけない。

 だがまだ体験のした事ない領域へシキは意識を持って行ってしまい、全身をオーラで包み魔法攻撃力を底上げをする。


「【マジックアロー】」


 再度右手の拳に宿した【マジックアロー】は先ほどの何倍もの気の塊をうねらせ、まだ体勢を整えられていない上級ポイズンウーズに向かって走り飛び込み手刀を頭の上から叩きつける。


「おっらーー!!」


「ビギャーーーーーーーーー!!」


 ふりかざされた手刀は上級ポイズンウーズの体を完全に真っ二つに割り、HPゲージもゼロになり光の粒子となった散らせた。


「シーちゃん」


 すべての力を使い倒したシキが倒れこむ寸前でサラは抱きかかえる。


「なんか、、、すげーのができた・・・」


 HPゲージがゼロギリギリまで近づき表情も完全に疲労困憊のシキ。


「もう、無理しすぎ」


 HP回復薬を急いでシキに飲ませて心配させないでといった表情をするも、その後すぐに「しょうがない人」と言いながら新しい攻撃パターンを生み出したシキを誇らしく思う表情と愛おしい者を見る表情が入りじまったサラだった。

12/13です。

次は明日の12時に投稿します。

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