第三十六話
白雪達と挨拶を交わした後、戦況を見る。
__人間側が押されてンな……。
__それに、邪竜も飛ンで来やがッた。
「ルチア、『#聖なる息吹__ ホーリーブレス __#』とかいけるか?」
『……大丈夫だ。というか、全ての属性息吹を使えるらしい』
「へェ……。……それッて、属性神龍じャなくて、全能神龍じャねェのか?」
・・・・・・。
「え、何々?」
「神龍にも階級があッてだな。属性神龍と全能神龍に分かれてる。属性神龍はその属性を司る神龍。全能神龍は全ての属性神龍を従える神龍だ。勿論、全属性の息吹も、魔法も使えるし、威力は倍以上だ」
「ほぇー……。…………。……凄いじゃん!」
「だから皆驚いてンだろうが」
思わず米神を抑える。
「お前もいつまで驚いてンだ」
ルチアを軽く叩く。
『ハッ! ユキシ、我の額を見てくれ!』
「はいよ」
背中部分から頭に移動し、額を見る。
「あるぜ。十二色に輝く宝石が」
『本当か! 我が、全能神龍……』
「……感動してる所悪いけれど、今は戦の最中よ?」
白雪の言葉で全員が気を引き締める。
「ンじャま、ルチア。全能神龍だと分かッたからな! 記念に一発打ち噛まそうや!」
『うむ!』
「無数の邪竜に向けて『聖なる息吹』! 用意!」
ルチアの目前に魔方陣が現れる。
「放てッ!」
ルチアが咆哮をすると、魔方陣から聖なる光が放たれた。
横一列で飛んで来る邪竜達を薙ぎ払う様にして放つルチア。
全能神龍の『聖なる息吹』を浴びた邪竜達は、一匹残らず、一欠片の肉片も残さず浄化された。
しかし、地上の人間側の劣勢は変わらない。
人間側は一旦下がり、結界を張ろうとしているらしい。
が、それまでの間、誰が魔物達を引きつけるかで揉めている。
「……行くぞ」
「えぇ」
「おー!」
『我は此処でモンスターを減らしておこう』
ルチアに頷き、下へ降りる。
「おい」
「! どうした?」
「俺達が引き受ける。さッさと下がれ」
「ッ! 頼む!」
冒険者は一瞬迷った後、そう言って下がった。
「おうよ」
それを見た他の冒険者達も、次々と下がり始める。
「さァて……。狩りの時間だ」
唇を舐め、迫り来る魔物達を見据えるユキシ。
『手の内はあまり見せンなよ?』
『そうね。大勢の冒険者達が見ているだろうし』
『じゃあ魔法と普通の攻撃のみだね! わくわくするなぁ!』
__…………。
『葛葉、段々戦闘狂になってきてねェか?』
『いや、雪紫の所為だと思うわよ』
『えッ……』




