第四話
「最近、日本各地の高校で失踪事件が起きているのは知っているね?」
頷く。
「この日本で、何かが起こっている。そして、この鬼龍高校からも失踪者が出ると確信している」
「何故確信を?」
白雪が聞く。
「ただの勘だよ。だが、この勘で私はここまで来た。……話を戻そう。確信しているからこそ、何かしらの手を打っておきたい。だから君達をこの高校へ呼んだのだよ」
「なるほど。生徒達の護衛をしろ、ということですね」
頷く総大将。
「やりましょう。これ以上被害を増やす訳にはいきませんから」
白雪も同意見のようだ。
「ありがとう」
「もしもの時は、組をよろしくお願いします」
「……分かった。だが、必ず帰って来てくれ」
白雪と同時に頷く。
「「御意」」
「……じゃ、よろしくね」
返事をし、理事長室を出る。
来た道とは反対の道を進むと、校舎の裏口に出た。
__演技開始っと。
「鈴代先生、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
「お~。気ぃ付けて帰れよ~」
一礼し、帰路に着く。
「すっかり暗くなってしまいましたね」
「そうだね。急いで帰らないと」
そう言うが、僕達の歩く早さは変わらない。
それどころか、段々とゆっくりになっている。
「白ですか? それとも黒?」
「白だね。慣れているけど、まだまだ未熟だ」
僕等は手頃な路地裏に入り、塀を上って屋根に身を隠す。
その後すぐにがたいの良い男達が路地裏に入ってくる。
「ど、何処行きやがった!」
路地裏を探しまわる男達を尻目に、改めて帰路に着く。
__帰路と言っても、屋根の上なんだけどね。
しばらく屋根の上を跳んでいると、娘の叫び声が耳に入って来た。
「どっち?」
白雪の言葉にその方向を指差して応え、その周辺に居る人数を伝える。
娘の叫び声が聞こえた場所へ猛スピードで向かいながら、端末を使って着物に着替える。
そして俺は藜組、白雪は古清水組に通信機を繋げた。
「俺だ」
『どうした』
爺様が出る。
「今娘の叫び声がした。その周辺には大多数の気配がある。一応、応援の準備を頼む」
『分かった』
通信を切り、全速力で向かう。
一分もせずにその場所へ着いた。
屋根の上から様子を伺うと、娘が男達に囲まれている。
その男達は武装していて、今にも娘に襲いかかりそうだ。
娘は震え上がり、今にも気絶しそうだ。
俺達は危険だと判断し、娘と男達の間に着地する。
「手前等、たかが娘に寄ッてたかッて武器を持ち出すたァ、どういう了見だ」