第二話
講堂にて、入学式が執り行われていた。
__といっても、退屈で寝てたから——多分バレてない――飛ばすけどね。
__え、メタいって? シラナイシラナイ。
ということで教室だよ!
「あ~。お前等を担当することになった、新人教師の鈴代順平だ。よろしく頼むー」
短い黒髪。花緑青の目。黒渕眼鏡。そして何より目を引くのが皺が凄い白衣。
「んじゃ、じこしょーかいするぞー。そっちから言ってけー」
顎で廊下側の先頭を指す鈴代先生。
__……僕か。
「あぁ、はい。……僕は莱雪紫です。男。趣味は……、薙刀術。よろしく」
一礼して座る。
それが終わると次はその後ろの生徒。そして一列終わると次の列、という風に自己紹介をしていく。
__次は白雪の番だね。
「私は小清水白雪です。見ての通り女ですよ。趣味は……、抜刀術です。よろしくお願い致します」
一礼して座る白雪。
全員の自己紹介が終わると、教科書を配り始める鈴代先生。
「あぁ、手伝いますよ」
「お? そうか?」
教科書を半分貰い、配る。
白雪も手伝いに来て、三人で配るとすぐ終わった。
「二人とも、あんがとな」
「「いえいえ」」
一礼して席に戻る。
「んじゃ、教科書配り終わったから帰って良いぞー」
その言葉を聞いて、席を立って帰り始める生徒達。
僕達は他の生徒が帰るまで待つ。
「やっと居なくなったか。最近の餓鬼は話すのが好きだな」
ため息を吐く鈴代先生。
「……改めまして、珠洲城順一です。この度は、お二方の護衛を努めさせていただきます。よろしくお願い致します」
そう言って丁寧に腰を曲げる珠洲城さん。
__この人は藜組傘下、珠洲城組の二十六代目大将。
__今回、俺達が学校に行くッてんで、護衛役を買って出てくれた人だ。
「あァ。よろしく頼む」
「変装中は何もできないからね。まぁ、危害を加えられたらやり返すけど」
「……では、理事長室へ行きましょう」
珠洲城さんの後に着いて行く。
階段の踊り場の壁にある絵画をずらすと、薄暗い廊下が続いていた。奥に進むと、大きなエレベーターが現れる。そのエレベーターを使って地下に行く。
軽い音と共に扉が開くと、銃を構えた男性二人が居た。
「珠洲城です。藜雪紫様と古清水白雪様をお連れ致しました」
それを聞いて銃を降ろし、道を開く男性二人。
一礼し、エレベーターを出る。
すると、目の前に大きな扉が。
「理事長、藜雪紫様と古清水白雪様をお連れ致しました。入ります」
大きな扉を開き、入る。
内装はクラシカルで統一されており、大人な雰囲気を醸し出している。
そして、なにより目を引くのが部屋中央に浮かんでいる大きな水晶。その周りには、幾つものパネルが浮かんでいる。
__恐らく、監視映像を映し出しているのだろうな。
「よく来たね。雪紫君、白雪君。珠洲城君は下がって居なさい」
大きな水晶の更に奥から声が掛かる。
その声に従い、珠洲城さんは入り口近くまで下がる。
声の主が歩いてくる。
俺達は跪き、声を揃えて言う。
「「お久しぶりでございます。総大将」」
「うんうん。久しぶり」
総大将。
それは極道界を束ねる長の名称だ。
総大将に光が当たり、顔が見えるようになる。
それはそれは端正な顔立ちで、俺達と同じ一つに束ねている月白のそれは、線が細い体に沿って腰まで流れている。線が細いと言ってもただ細い訳ではなく、着物に隠れているが、その体にはしっかりと筋肉がついている。そして、なによりその目だ。紫を濁した様なその竜胆色の目は儚げに輝いていた。
そして――、
――物凄く強い。
極道界最強と言っても良い程だ。
俺達はこの人に稽古をして貰ったことがあるが、あれは地獄だった。しかし、強くなったという実感はあった。
この人の人柄も相俟って、俺達は総大将を尊敬している。