第十六話
「さて、そろそろ学校に行かなくちゃなンねェ。今日は此処までだ。……そうだ」
首を傾げる葛葉。
「お前も通うか。一人で此処に居てもつまンねェだろ?」
「い、良いの?」
葛葉が目を輝かせる。
「おう。まァ、ある程度まで勉強しなくちゃなンねェが……。大丈夫だろ」
「大丈夫なの……?」
「大丈夫だ。……人を呼ぶ」
頷き、変身を解く葛葉。
鈴を鳴らすと、すぐに女中が来た。
「忙しいのにすまねェな。こいつを鬼龍高校に入学させる準備と、勉強を教えてやッてくれ」
「分かりました。では寸法を測りますので、こちらへ」
「は、はい」
女中に着いて行く葛葉。
それを見届け、学校用に姿を変える。
それからしばらく書類や学校の予習をし、時間を潰す。
「……時間だな」
荷物を持って自室を出る。
「雪紫!」
俺の名を呼び、近づいてくる葛葉。
葛葉は真新しい制服を身に纏い、長い黒髪を上で結っている。
「どう?」
「似合ッてる」
そう言って葛葉の頭を撫でる。
「えへへ……。雪紫も似合ってるよ!」
「あァ。ンじゃ、言われたと思うが、注意事項な」
背筋を伸ばす葛葉。
「まず、性格を変える事」
「少しキツめの性格にしようと思ってる」
頷き、了承する。
「次に、容姿だが……」
葛葉の周りを一周する。
「大丈夫そうだな。ンじゃ最後。お前の名前は?」
「莱葛葉よ。雪紫の従妹。白雪とは幼馴染みなの」
少しツンとした態度で言う葛葉に頷く。
「合格だ。そのままで頼むぞ」
頷く葛葉。
__んじゃ、俺も演技開始っと。
「じゃあ行こうか、葛葉」
そう言って葛葉に笑いかけ、手を差し出す僕。
「えぇ」
手を握ってくれたことを確認し、玄関へ向かう。
「遅かったですね」
「白雪。待たせちゃったね、ごめん」
「ごめんなさいね」
僕と葛葉が謝罪する。
「では、行きましょうか」
「うん」
「えぇ」
道を歩きながら、他愛も無い話をする。
「あ、あれ、莱君と小清水さんじゃない?」
「ホントだ! ……あの女の子は誰だろう」
なんて会話が耳に入ってくる。
「人気者ね」
「あはは……。どうしてだろう。やっぱり白雪が可愛いからかな?」
「いえ! 雪紫が格好良いからですよ!」
その会話を聞いた葛葉は米神に指を添え、呆れる。
「また始まった……」




