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泣いた悪猿⑧

永山からすれば、脳の血管が爆発しそうなほどまどろっこしいやり口だった。手間ひまかけて恩を売るより、もっとシンプルで合理的な方法を思いついたのだ。金に困っている人間に僅かばかりの金を渡し、地球市民の党に入れさせるというものだ。

だがこれは勿論のこと、人間社会における法を露骨に破ることとなった。役を外されるのも道理ではあるが、恩を売ることと金で買うことの差が永山にはとんとわからなかった。


納得のいかないまま役を干された永山は、怒りのやりどころを求めていた。とはいえ、永山とて仮にも人間の戸籍を借りて生きている身だ。人通りの激しい都会で考えなしに人間を襲い食うわけにもなかなかいかない。

と、そんなときに格好の獲物がいた。三・四人の男たちが路地裏に女性を連れ込み襲おうとしているのを見かけたのだ。これなら多少の乱暴はお目こぼし頂けることは、永山も知識で知っていた。

「やめたまえ君たちっ!」

いかにも人間たちに喜ばれそうな台詞を吐いた後、永山は男たちを憂さ晴らしの道具に使った。呪の一つも知らない喧嘩っ早いだけが取り柄の素人どもに、マシラが負けるはずもない。正体を晒すまでもなく人の姿をしたまま、顔面に一撃お見舞いしただけで頬骨を粉砕できるのだ。しかも永山の方は鉄パイプで殴られた程度ではコブの一つもできず、パイプの方がひしゃげる始末。圧倒的な攻防力の差を前に、乱暴者たちは悲鳴をあげて退散する他無かった。

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