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泣いた悪猿76

外に逃れた永山に、更なる追い討ちが襲いかかった。

近所の小学校の下校時間と重なったらしく、ランドセルを背負った子供たちの集団と鉢合わせてしまったのだ。永山には手を出してはいけない軟らかい肉が群れているようにしか見えなかった。そばにいた保護者に挨拶をされ、返事することもできずに顔を背けた。不審者丸出しの自分自身に気付きながらも、どうすることもできなかった。

僅かでも気を抜いたら、この場が空前絶後の殺戮事件現場になってしまう。人気のないところを目指して逃げようとしたが、朦朧とした意識では冷静な行動などできない。いくらか歩くうちに、住宅街を飛び出して繁華街に足を向けてしまった。

人間の臭いが密集して襲いかかって来るかのような感覚に、永山は絶望するしかなかった。

(……落ち着け、落ち着け。冷静になって考えてみろ……)

すぐ目の前にあるコンビニをスルーし、自販機でコーヒーを一本買って飲んだ。気が紛れるどころか、手を伸ばせばすぐご馳走にありつける状態で見当違いなものを口に入れているだけの自分の惨めさだけがより強調された。


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