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泣いた悪猿65

「四・五年だったかな。爺が世の中で一番嫌ってる奴が、てめえと同じ身分に格上げされたからよ」

首俵は親指で自分の顎を指しながら、自慢げに言い放った。


永山は思わず「アッ」と声を出した。

飛騨と同じ身分といえば“柱神”と称されるカンパニーの大幹部だ。本来マシラ一族に柱神の地位は一枠しか与えられず、そこに飛騨申兵衛が収まっていた。そこを例外的な措置として、首俵が柱神の座についたのだ。首俵の圧倒的な力を思えば理不尽とも言えないが、前々から険悪な仲であった飛騨申兵衛が不満を募らせたのはわかる。両者の人間に対する扱いの違いは、明らかに両極にあったからだ。


「首俵さん、さすがっす。いや、今まで知らなかったのが恥ずかしいくらいっす」

永山は首俵を絶賛する一方で、飛騨老人を密かに侮蔑した。

首俵と縁深いはずの永山ですら、知らされなかった朗報だった。なぜなら、永山のいる東地方は飛騨派の力が強い。永山ですら首俵の出世を知らなかったのは、怒り狂った申兵衛が徹底的に情報封鎖をしていたから以外に有り得ない。なんという器の小さい爺だろうと、改めて嘲笑った。

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