表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/88

泣いた悪猿62

気圧の谷のような温度差がある会話は、やがてバスの到着によって終わった。さすがの死神も、運賃を支払ってまでついてくるつもりはないようだ。

「じゃあ、な。お前の女だ。幸せにする方法くらい、お前が万全にしておけ」

無造作に投げつけられた言葉を、永山は真摯に受け止めた。

「もし、万が一……」

永山は言いかけて、止めた。それがとんでもなく不躾な願いであることに気付いたからだ。無視するように去り行く死神の背中に、行儀良くお辞儀をした。


「トウジ君、ヤクザさんの舎弟さんみたい」

ユウコはクスクス笑いした。

「尊敬してるんだ。あの人のこと」

永山は真顔で言い切った。

「そうだ。えらい人だ。オレなんかより、ずっとな」

永山は心底そう思った。十年前のあの日、上等の肉としか思わなかった子供と同一人物に頭を垂れているのだから、世の中は不思議なものだ。

(報いよう、あの人の心意気に……)

永山は感謝の気持ちを噛み締めながら、バスへと乗った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ