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泣いた悪猿61

永山は不思議に思った。死神から感じる気配は間違いなく人外のものであるが、この男は人間として振る舞う術を永山などよりよほど熟知している。永山の話に合わせ、あたかも彼が一般的に言われるところの“悪童”それ以上も以下もない人間であるかのように、見逃してやっても構わないような軽犯罪者であるかのように、話を上手に作り上げてくれている。

永山は勝手に解釈した。きっとこいつも、暗中模索の中で人間らしく振る舞えるように努力したのだろうということを。この死神にもユウコのような導いてくれる人間がいるのだろうということを。その人を大切に想うからこそ、同じ立場であろうユウコから永山を奪うような真似がはばかられたのであろうことを。


「こいつは真面目にやっているか?人の道を外れてお前さんを泣かすようなことがあれば、全身を切り刻んで殺してやると言ってあるんだが?」

死神の冗談めかした言い回しにユウコはクスクス笑ったが、永山はまた下半身の堤防が決壊しかけた。それが一字一句たりとも冗談でないことを痛感していたからだ。

「あ~、聞いてくださいよコウタロウさん。この人、いつまでたってもトイレの便座を上げておいてくれないんですけど」

ユウコが永山の頬を指でつつきながら、悪乗りした。

「フフフ。それは半殺し程度には値する案件だな」

永山は冷や汗を垂らした。まさか便座ごときでまた足蹴にされることはあるまいか、一瞬だけだが懸念した。


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