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泣いた悪猿55
「トウジ君は、本当に凄いなあ」
苦笑いするユウコの真意が、永山にはわかりかねた。
「トウジ君ってさ、よく爆弾な発言、割と平気そうな顔でするよね……違う、違う。そんなわけない。平気なわけないんだ。あたしが臆病なんだ、チキンなんだ。あのね……トウジ君、あのね……」
ユウコは喋りながら、涙をポロポロと流し始めた。
永山は狼狽した。やはり、言い方がまずかったか。どんなに頭を使ってみてもこれだ。自分の頭の悪さに、ほとほと嫌気が差した。
「トウジ君は、強いんだ。勇気があるんだよ。あたしみたいにビビりじゃないんだ。あたし……告白します。トウジ君の勇気に敬服して、あたしも告白しまず。あだじ……」
泣きじゃくり過ぎて声が声にならなくなりそうで、ユウコはいったん喋るのをやめた。大きく一呼吸して、また口を開いた。
「お互い様なんです。あたし、赤ちゃんを産めないんです……」
ユウコは震えながら声をあげた。捕食動物に追い詰められた小動物のように震えていた。
「トウジ君、ごめんなさい。あたし、ウソつきました。前カレに振られた理由、意味もなく別れさせられたって言ってたよね?違うの。検査したらわかったの。あたし、赤ちゃん産めない体になってたって。子供を産めない女じゃ無理だって、それで断られて……」




